ケリーがデビューイヤーにワールドタイトルをとったころ、90年代序盤に同年代で活躍し、ケリーを倒すライバルとして有名だったシェーン・ヘリングがなくなったというニュースからすでに2週間たってしまった。おそらくもうほとんどの人が知らないであろうヘリングのことを書こうと思っていたんだけど、なかなかヘリングにたどり着けないでいて、ようやく今回と思ったら、そうだ、ポルトガルだったじゃん、とすっかり視界から外れていたポルトガルの採用で、ヘリングはまたまたお預けになった。ごめんねヘリング。
まぁ、グリグリのバレルあり、エアーショーありで、ダイジェストなエンターテインメント的にはかなりいい感じのポルトガルだったけど、優勝はヤゴ・ドラ、2位にきっちりイタロ・フェレイラ。今年はイタロなのかな、今のところ。なんかねぇ、ガブ無し、ジョンジョン無しとなると、なかなかねぇ……フィリッペもなんか抜けちゃってる感じだし、ジャックロボもパッとしない。まぁ、このシステムはハーフカットに生き残った後でのトップ5争いが本番だから、この前半はハーフカットさえクリアできればいいわけで、まだまだ先は長いわけだけど。
女子はキャロライン・マークス、2位ガブリエラ・ブライヤン。
ポイント的には男女ともトップは独走態勢、イタロとケイトリン・シマーズ。
すっかり視界から外れていたので、ヒート表を見ようと思ってサイトに行ったら、初めて見たジャッジクライテリアってリンクがあって、なんだこれ、って思ってクリックしてみてびっくりだわよ。
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前回コラムからの続き。
サーフィンはメジャースポーツにはなりえない、というボビーの話。当時のASP、そして現在のWSLも、目標はサーフィンをアメリカのメジャーな商業スポーツのように発展させよう、ということだった。テニスやバスケットボールや野球のように、選手が何十億、何百億と稼げるスポーツ。サーフィンをしたことのないファンですら、ビール片手にサーフィンを熱く語るような状況。それを夢見た。
ボビーはそこにひとつひとつ、なぜサーフィンはそうなりえないかの検証を示して見せた。
まずボビーが言ったのはスポーツとしての入り口のハードルの高さ。
サーフィンをするというときに、1000ドルもするボードが必要なこと。海に行くのに車でドライブしないといけないこと。場所によってはウエットスーツもいるし、とにかく金銭的な負担が大きい。
LAでも治安が悪く貧しいエリアもよく知っているボビーだからこそ、現実にそこの子供たちがサーフボードを手にすることなどありえないこともよく理解していたし、逆にバスケットボールなら、ボールひとつあれば街中の空き地でみんなが楽しめることもよく理解していた。
もうこれだけでサーフィン人口がある一定以上増えないのは自明の理だ。まぁ、昔からマリンスポーツというのはお金持ちのスポーツともいえるわけで、ボールひとつと何千ドルの道具は比べるべくもない。それでもサーフィンは、マリンスポーツの中ではお金のかからないほうなのかもしれないが。
次にサーフィンができる場所の少なさ。
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2011年のクイックシルバープロニューヨークというコンテストは、今思い返せばいろんな意味で大きなターニングポイントになった試合だと思う。ボビーの爆弾発言ばかりではなく、計算ミスでケリーのワールドタイトルを確定としたASPのポカ、エアーにワンマニューバーで9点台を出すというエアー重視のクライテリアへの変化、レールワークを駆使したビッグターンへの過小評価などなど、様々な方向で今現在に続く多くの変化があった試合だ。あの変化がなかったら、テイラー・ノックスはあと何年もツアーにいたに違いない、と今でも残念に思う。
2011年というのはツアーが大きく変化しようとした年であり、無謀ともいえるシステムの変更が行われた年だ。目指したのはサーフィンをよく知らない人にもわかりやすくシンプルなシステム、ビーチのギャラリーがすごいと思うものに高配点、のように、一般の人に寄り添う方向への変化だ。
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2025年のWSLルールブックの変更点の翻訳をしていて、まぁ、なんかこの辺で現実に問題が起きてもめたんだろうなぁ、という感じがすべての変更点で想像できた。
でも、まだもめそうだなと思ったのは、複数ピークでの試合では、サーファーが選んだピークのテイクオフゾーンについたらプライオリティってことになっていて、例えばだけど、ふたつのピークのうち出るのが早く済みそうなピークにさっさと出てプライオリティを取って、別のピークに移動した場合、プライオリティはそのままなわけだから、それはひとつの作戦として使えるのかなぁ、とか考えた。
地形やうねりの向きや風向きによって、同じポイントでも出やすいピークと出にくいピークがある。いつもそうというわけではないけど、そういうケースは確実にあるわけで、そこ逆手にとって使えるんだろうか、とか、それを使えないようにするにはAピークのプライオリティとBピークのプライオリティをわけなくてはならないわけだけど、それは現実的に無理だよな、とか、なんか考えれば考えるほどサーフィンのルールというのは微に入り細に入り複雑化していく傾向にあるわけで、やはりシステマチックに黒と白に分けるのは難しい。
よって、すべては最終的にヘッドジャッジと過半数のジャッジの意見ということになるわけで、合議制というか、民主主義というか、ファジーな部分が残る。
すべてのスポーツにおいてこういうファジーな部分はあるものの、特に自然環境下で行われる競技はルールブックじゃ足りないことがたくさん起こるわけだ。
ゲットの時のパドリングインターフェアなんて、故意か故意じゃないかなんてどう判断する? あれわざとでしょ、なのか、流されてあっち行っちゃったね、なのか、いくら過半数とはいえ、ジャッジの個人的な感覚によるところが大きい。よほどのことが見えない限り、わざと、という判断をするのは難しくなるんじゃないかと思うんだけど。
まぁ、こういうことを考えるといつも、だからサーフィンはシビアな競技スポーツには向かないんだよなぁ、という結論に達してしまう。
そしていつも、2011年のニューヨークでのボビー・マルチネスのヒート後の勝利者インタビューでの発言やその後の言動を思い出し、ひとつひとつ、すべてボビーは正しかった、と思う。
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以前にもどこかで書いたかもしれないけど、ハワイ、ノースショアのパイプラインというピークの波は、結局バックドアなんだな、と思う。というより、過去サーファーたちが手を出しあぐねていたダンパーのバックドアが主役になる時代がやってきたんだな、と思う。
ひとつのピークでレギュラー側をバックドア、グーフィー側をパイプラインと呼ぶわけだけど、これもあまり例を見ない特有のものだ。
あのピークが発見されたときには、まだサーファーたちは今でいうロングボードのような板に乗っていたし、いかにしてワイプアウトしないで板に乗ってるか、みたいな話で、バレルに入るのも波任せのようなところがあり、テイクオフ、構える、波が巻けば入れるし、巻かなければ入れない、という時代のあと、ストールする、つまり波に合わせてスピードをコントロールしてバレルインという時代がくる。そしてそのあと、トム・キャロルがリップして板を止めてバレル、という離れ業を見せて、初めてパイプの波がサーファーの意思によって本格的にコントロールされる時代の幕開けになった。
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カメの飛行機、フライング・ホヌくんでハワイから帰ってきて、ちょっとボケボケしているうちにアブダビのプールが終了、ナザレのビッグウエイブイベントが終了で、いまさらパイプのこととか蒸し返すのもいかがなものか、という情報の消費の早さだ。
雑誌の時代だったら、パイプの話はまだ紙面には登場していないか、締め切りのタイミングによっては今ごろ情報として世間に流れるわけで、今思えば何とものんびりしていたし、その分情報の命も長かったように思う。
今はすべての情報がライブでリアルタイムに流れて、ほんの数日で消えていくというか、ほかの情報に上書きされて、忘れ去られていく。
まだ1か月もたっていないのに、パイプなんて昔々の出来事のような感覚になるのはどうも違うかなぁ、という気がする。
レオの9.10に関してはネット炎上なわけだけど、それを消火すべくあれこれ理由探しが行われる中、まぁ、そこはちょっと聞いてやってもいいかな、と思ったのはテイクオフからのスピードの問題。でもなぁ、それ指摘するなら、ほかのヒートでもそこ見てほしいし、そこに重きを置くならほかのヒートでも結果は違ってくると思うし、それで納得がいくと思ったら大間違いかなぁ。
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う~ん、終わりよければすべてよし……ってか?
超珍しいファイナル同点でのカウントバックの末、メンズはバロン・マミヤが2連覇、2位はレオナルド・フィオラヴァンティ。
ウイメンズはタイラー・ライト。ケイトリン勝って男女とも2連覇とかなのか? と思ったけどタイラー頑張ったな。
昨日の波がもっと残れば面白かったんだけど、大幅にサイズダウン。午前中はそれでも時々名残のセット入ってきてたけど、午後になるとだいぶ怪しくなって、風も吹いてきて、待ちは長いわ乗ってもバレルにならないわで、けっこう退屈というか、眠いというか。
ファイナルでバロンが序盤立て続けに2本決めてレオナルド・フィオラヴァンティをコンビネーションにした時点で、もう帰ってもいいかなぁ、って感じだった。だってそこまでのバロンの出来は、誰も寄せ付けない感じだったし、バロンにしか見えていない、バロンにしかテイクオフできないバレルを簡単にメイクしているのを見ていたから、あぁ、やっぱバロンなんだぁって感じだったもの。
でもそのあとのレオの猛チャージは感動ものだった。
ルーキーで頑張ったのはジョージ・ピター。結構行くのよね、この人。ルックスはもうハンサムのステレオタイプ。誰が見ても、あぁ、ハンサム君ね、という感じ。お父さんがまたそっくりでイケメンオヤジ(笑)。
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やっぱサイズあるとおもしろいわね。時折セカンドリーフ、サードリーフの8‐10フィートのパイプ、バックドアは久しぶりに見たかな。ただ、まだちょっと砂の様子が美しくないので、ジャンク気味ではあったものの、お化けセットにヒュ~って声の出る感じはやっぱハワイだなぁ、と思う。
クリーンなビッグバレルがどんどん来るというよりは、ぼこぼこ来るモンスターセットの中に、ここの波をよく知っている人だけが抜けられるパイプとバックドアウエイブがまざってて、それメイクで9‐10ポイント。
一番スリリングだったのはジャック・ロビンソンのバックドアの10かなぁ。今日イチ、ひょえー、それ行くの? って思った。それでもバックアップが取れなくてルーキーのアラン・クレランドにR32 でやられた。そんなぁ、って感じだったな。アランが序盤に9.50を出したんだけど、それに比べればジャックのやつは12点なので、アランに負けたというよりは10点満点というスケールの狭さにやられたというべきか、あるいはアランの9.50が高すぎたというべきか。あの2本の間の差が0.5というのはなんか納得いかない感じだった。
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う~ん、結局最後の2日間まで押せ押せで、金土マストゴー。もうオフってコールはできないので、何が何でも突き進むのみ。明日明後日、混みそうで面倒だな。
この間、何日早朝に会場行って、つまらない波見て、コール待って、やるやる詐欺に引っかかったことか。序盤には2日連続でオフとかやってくれてたけど、そのあとは連日その日その日のコールで、朝食ってコール待ち、早いランチ食ってコール待ち、結局パイプに座って食ってるだけ(笑)。
だからと言ってコール待ってからだと座る場所もなく、車止めるところもなく、ほんと、困るわけですよ。
波は昨日よりクリーンながらサイズダウン。やれと言われればやれるだろうけど、今日の午後からスウェルが入ってくるらしく、それ狙いで最終の2日間に賭けるところまでずれ込んだ。
とはいえ、その間あの日にやればよかったのに、ってのもなかったから、しょうがないといえばしょうがないかな。今日の午後からのスウェルがパイプらしい波を見せてくれるといいけど。
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まぁ、結局水、木、金ですね。明日はサイズダウンの予報ですけど、よほどのことがない限り、コンテストピリオドの最終日の土曜日にかけるギャンブルはしないと思うので、メンズだろうな。今までの経験からすると、その予報が絶対でない限り、最終日にかけることはしないし。
本日は女子ラウンドワンの残りと男女エリミネーションラウンド、そして女子のラウンドオブ16。長い一日。
波はねぇ、結構ひどかったかな。バックドアオンリー、朝はハワイ特有のモーニングシックネスって感じで面がちょっとぼこぼこしてて、それがクリーンになったころには潮が引いて出るのが大変。砂がうまく動いてなくて地形イマイチだし、なんかいつものように海に向かって右に流れるパイプの強烈なカレントがあまり見られない。なんか違うなぁ、って感じだな。コンテスト会場の両隣、オフザウォールとエフカイビーチのほうが良かったような気がする。
それでもたまーにチョイかぶれるバックドアバレルが来て、まぁ、それをモアナ・ジョーンズ・ウォング相手に負けてたあのタイミングでつかんじゃうのが、ケイトリン・シマーズのケイトリン・シマーズたるゆえんなんだろう。
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