F+編集長
リストウォッチ大革命!サーファーの夢物語をITのエキスパートが実現
世の中どんどん便利になっていくわけだけど、例えば携帯電話とか、インターネットの登場のような、世界の常識を変えてしまうというか、世の中を変えてしまうような発明というのは、そうそうあるものではない。特にサーフィンに関して言えば、ケリーが常日頃いうように、スラスター、つまりトライフィンの登場以来、20年間サーフボードに関しての画期的改革がない。たしかに道具の分野では、サーフィンの価値観を変えてしまうほどの発見、発明はない。しかし、リストウォッチで、大改革が起きた。この秋リップカールから登場するSEARCH GPSは、GPSやグーグルマップを利用することで、とんでもないデータを見ることができるようにしてしまったのだ。例えば、そのセッションが何時間何分で、その間に何本波にのって、何キロパドルしたか、そのセッションで自分のライディングの最高速度は何キロだったか、正確な海面からの波の高さや、潮周り、などなど、あらゆるデータが正確な数字で出てきてしまう。ライディングの軌跡をグーグルの航空写真の上にラインで示すこともできる。それらのデータはクラウド上にいる同じサーチGPS仲間と共有もできる。たとえばミックが、アラナが、今どこでサーフしているか、何本のったか、みたいなことがわかっちゃうのだ。これはすごいことだと思う。例えば全く別の切り口でのサーフコンテストが可能になる。本当に最速は誰か、一番長距離を乗ったのは誰か、見た目ではなく実測で一番大きな波に乗ったのは誰か、一番ロングパドルをしたご苦労さん賞は誰か、などなど、考え出したらきりがない。しかも、ジャッジという主観的なアナログ計測ではなく、GPSを使った客観的で冷酷なデータだ。あなたとミックの速度差が一目瞭然って、厳しい現実ではあるけど、ちょっと知りたくないですか?発案はリップカールの一社員。GPSを使ったらこんなことができるんじゃないか、って夢物語が、ITのエキスパートたちと共同開発することで現実になった。操作もシンプル。ワンクリックでスイッチオン、ブルートゥースで携帯端末にデータを転送できる。ミック的には何が便利って、タイドチャート出すのにどこにいようがスイッチ一つですむというところだそうだ。そう、あなたが地球上のどこにいるのかはGPSがすでにご存じなので、設定する必要がないわけ。先日来日した本国のリップカールのお偉いさんのニールは、ある時ジョハナビーチで3セッション、その間トータルで何十キロもパドルしていたことを知ってびっくりしたそうだ。しかし、便利な物には欠点が。ニールさん曰く、ついついセッション前にスイッチ入れるの忘れちゃうんだって。あれ、これって時計じゃなくてニールさんの欠点よね。日本での発売は10月の予定、価格は¥43,000(税別)。ま、サーフウォッチとしてはお高いけど、時計と考えればお安い方ですわね。お問い合わせ先リップカールジャパン株式会社OSAKA.06-6538-8011TOKYO.0466-28-7755
WCTウイメンズロキシープロ終了、ガチなトップ4
フランスで行われていたWCTウイメンズのロキシープロ。メンズより一足先に、タイラー・ライトの優勝で幕を閉じた。ウイメンズのタイトル争いは激戦でこの先のポルトガル、マウイの2試合で、上位4名がどうにでもなる感じだ。サリーちゃん、タイラー、ステファニー、カリッサという順で並んでいるけど、全員が2勝づつあげていて、そのほかもみんな、2位、3位、5位。という好成績でまとめていて、今シーズンのガチなトップ4という感じだ。確かにこの4人は安定した実力をどの試合でも見せているし、ほかの選手たちとはレベルの差があるように思う。5位以下の選手はだいぶ離れている感じ。アジャスティングを考慮すると、ステファニーがちょっとだけ有利かな、という感じではあるけど、この先の2試合で、この4人のうち誰かが優勝すれば、ぐっと有利になる。タイラー・ライトタイラーは昨年後半あたりから急に進化してきている選手だと思う。サーフィンも変わってきているし、身体がだいぶ大きくなった。かなり筋トレしてるんじゃないのかね。小柄だけど、肩幅とか、がっちり具合がアスリートしてる。サリー・フィッツギボンスサリーは、ここ何年も手が届きそうで届かないでいるタイトルだけに、今のリードを死守したいところ。ま、どっちにしても、だいぶ日本とはレベルが違っていて、どうにもこうにも追いつけないんですけどね。写真は表彰式のタイラー、サリーちゃんとサリーちゃんのパパのマーティン。残っているメンズはラウンド3のヒート4まで終了しているけど、ま、今のとこ大きな波乱はナシ。ガブ、淡々とタイトルに向けてまっしぐら。photos by...
Hurley...
ジョーディ・スミスジョーディねぇ。ま、順当といえば順当かね。大きな体から繰り出すビッグカーブ、冴えてたもんね。地元アメリカ的には、ジョンジョンが良かったわけだけど、ま、ジョーディもアメリカ(オレンジカウンティとか?)に家買って引っ越してきたらしいから、ジョーディでもよかったのかね。表彰式では、その賞金で2軒目はどこに買うの~? なんてヤジも飛んでたから。エイドリアン・バッカン波はなんか、セットが来るとでかいんだけど、風も入ってボヨボヨで、セットのでかいのはちっともよくなくて、なんかものすごく見るのに集中できない波だったと思う。待ちが長いし、よさそうに見えてよくない。でもいい波でのパフォーマンスは見応えあったけど。ジョンジョン・フローレンス昨日爆発のジョン様。今日はさすがに地味な爆発だったけど、ヒートごとに後半きっちりまとめたり、我慢しながらチャンスに全力にかけたり、コンペティターしてたね。ホント、デーンがまじめにやってすごく良かったときな感じ。えっ、マジ? みたいなライディングが続出だった。今日もセミでケリーに勝って、この試合では一度もケリーに負けていない。タヒチでのお返しをガッツリした感じだ。このお返しはたぶんパイプで、ってケリーは思ってると思う。ま、勝ちたかったと思う。相手は仲良しのジョーディだし、ラストライドまで勝ってたから。この悔しさが持続してコンペ方向に目覚めると、ジョンジョン、来るかも。手は相変わらずぶら下がってるけど(笑)。このジョーディとジョンジョンのファイナルを見てくれたひとは、何で私が個人的にガブじゃつまんない、と思ってしまうかが理解できたと思う。ラインの太さ全然違うし、見ててうなるし。ケリー・スレータータイトル争いは実質的にはケリー、パーコまでかね。ミックは今日の5位で結構遠ざかった。ケリーもこの3位は微妙なところ。首の皮1枚つながり。優勝するとだいぶ違ったんだけど、とにかくケリーがタイトルを取るにはこの先の優勝が条件。ガブの取りこぼしがあれば1勝でも行けると思うけど、この先ガブがセミ以上を取るとほぼ確定ということになる。ヨーロッパガブ得意だしね。女子は毎朝練習してた人が勝った感じーサリー、ステファニー、ココ、ジョアンヌ、4人とも毎朝6時過ぎから練習してたから。特にサリーちゃん、いったいなん時に来るんだよ、ってぐらい、いつだって暗いうちから私たちより先に車がとまってた。ステファニー・ギルモアサリー・フィッツギボンス女子のタイトル争いはカリッサがこの試合で早く負けているので、2位になったサリーちゃんがポイントリーダーに入れ替わり。カリフォルニアでのサリーちゃん人気、高かったね。ただ、ファイナルはもうステ大爆発。カービング炸裂しまくりだった。オープニングライドが9.50、そのあとこの試合唯一の10点満点を出して完勝。ペース配分バッチリだった。うまかった。久しぶりのステファニー節うなりまくり。ツアーは休む間もなくヨーロッパへ。パイプを考えると、ガブをとめるのはケリーだけかな、と思う。おじさんもその辺はしっかり計算済みだろうから、久しぶりにガツガツ勝ちに来るんじゃないかと思う。aspジャパンサイト内のYuki's WT Ourlook...
Hurley...
ジョンジョン・フローレンスジョン様ばくはつ~、だいばくはつ~。ラウンド3の続きからラウンド5まで行われた本日。もう他には書くことないですね、「ジョン様バクハツ」の8文字で終了っすかね。あのね、ロウワーでケリーがコンビネーション負けって、考えられんし。ケリー・スレーターあ、本日のラストヒートのラウンド5でケリー、タイトルに首の皮1枚つながった感じ。タジ・バロウタジ相手に最後の10秒ぐらいプライオリティを握られてたけど、なぜかタジが乗せた波で7.23必要のところ7.27。あんなにマークしてたのに、何で乗せちゃったんだろう、タジ。もう何度もそういうの食らってるのに……。ガブリエル・メディーナガブはQF進出、5位確定で、こうなるとますますタイトル濃厚。ホントコンペマシンというか、試合強いよね。ラウンド4は負けはないけど、ここで勝てばQF、5位確定という大事なヒート。そういう時に今回の試合で一番いいサーフィンをした。ま、そういう子なんだろうね。だから若くしてここにいるんだろうし。サーフィンのマジョリティはオーストラリアとアメリカなので、ぶっちゃけほとんどの人がガブのワールドタイトルを望んではいないわけよ。誰がワールドタイトル取るといいと思ってる? っていう質問がここの所よく聞かれるわけだけど、ガブ以外の誰か、っていうのがほとんどの答えってね、ホントガブには失礼な話だけど、もうずっとアメリカ、ハワイ、オーストラリアの間でやり取りしてきたワールドタイトルだから、よそに行くのはイヤ、っていう気持ちもわかる。人種差別というわけじゃないけど、やっぱサーフィンはオーストラリア、アメリカのものという意識は根強い。実際にツアーの国別になると、マジョリティはそういうことになるし。それよりそうなっちゃう大きな原因は、サーフィンがうまいんじゃなくて(うまいけど世界一うまいわけではないということ)、冷静で、プレッシャーに強く、試合がうまいコンペマシン。それで勝ってる、っていうところにあるんだと思う。サーフィンそのものは、何となく見ててつまらない。もっとガブのサーフィンが見ていたかった、とか、今日のジョンジョンみたいにビーチ中がおぉ~、みたいになることがあまりないと思う。鳥肌立たないというか、感動しない感じーエアーで沸かすことはあるけど、エアショーならフィリッペのほうが勝ちそうだし。ジョーディやジョンジョンのほうがずっとサーフィンはうまいと思うし、タイトルコンテンダーのミック、パーコ、ケリーに比べて、じゃ、ガブがワールドタイトルを取るに値する実力なのかー と考えれば、う~ん……、となる。ミック・ファニングジョエル・パーキンソンま、このままいけばこの試合での優勝はなさそうに思うけど、優勝すればほぼほぼ決定。現時点でもタイトルはだいぶ近づいた。少なくともこの試合でガブが5位どまりで、この3人のうちの誰かが優勝というシナリオがないと逆転が現実味を帯びてこない。個人的本音は、う~ん、つまんないなぁ……だ。明日は男女ともファイナルデーの予定。aspジャパンサイト内のYuki's WT Ourlook...
現ASPのプロダクションチーム紹介
現ASPのおひざ元のアメリカだけに、プロダクションチーム(番組制作版ね)もあの手この手で、エンターテインメントを考えてる。ロブ、ポッツ、ガーラック、おそらくカレンもそのうち引っ張り出されるだろうし(笑)。すでに過去の人々なわけだけど、いまだに誰もが知っているスターたち、というあたりがくすぐりどころなんだろう。試合中なんで現役の選手をバンバン使うわけにもいかないしね。写真は本番待ちのトッド・クライン、ロブ・マチャド、ストライダー・ワズルスキー……ってみんなこのF+の母体であるflow創刊当時からの仲間。スタジオから手を振ってくれました。横で休憩中のロスも。なんかね、新体制になってこの人たちが年間ツアーを回るようになって、プロダクションチームとメディアの箱がたいてい同じだから、結構顔を合わせる機会も多くて、懐かしい限りで、楽しい。お互い年取ったけど、まだここにいるのね、みたいな。下積み時代の同士、って感じですか(笑)。ロブ、ヘアスタイルに迫力が加わった感じ(笑)
Hurley...
ガブリエル・メディーナアリッツ・アランブルーアリッツ・アランブルーにやられたジョシュ・カー以外は、取りこぼしなくラウンド3へ。ジョシュ、超悔しそうだったね。コンペティターエリアで荒れてる音がした(笑)。今日のところはタイトルレースに関して大きな動きはなかったけど、なんか波がね、思ったよりよくない。もっとクリーンでいい波なはずだったんだけど、混ざってきている台風のうねりが変な風に影響しちゃったみたいで、朝一ヒートからいきなりリスタート。でもこのリスタートは波がどうこうというより、ガブもラオニも波選びすぎ、的なところあったけど。なんか、両者絶対に負けられない緊張感が、なかなか波に手を出させなくしてた感じかね。ガブは困ったときのエアー一発で6.17、そのあとペースをつかんでラウンド3へ。ラウンド3では例のコスタリカのカルロスとリマッチということになった。やっぱなんか変な感じだったね、今日のガブも。ケリー・スレーター逆にケリーはスイッチ入ったかも。久しぶりにケリーのケリーらしいというか、危なげの全くない、う~ん、ケリーだよね、って感じのサーフィンだった。特に8.50のエアー。えっ、ここエアーですか? って意外なタイミングで、しかも高かったし。ありがちな、走って走って、そこで飛べっ、って感じのタイミングじゃなかったよね。42歳は42歳なりの、つつましやかなサーフィンしてほしいんですけど……(笑)。ケリーもラウンド3はタナー・ガダスカスとリマッチ。タジ・バロウコロヘ・アンディーノタジも問題なく勝ち上がった。ディフェンディングチャンピオンのタジ、けっこういい感じだと思う。ドローカルのコロヘは危なかったけど最後に逆転してラウンド3へ。しかし本日の最終ヒートのラウンド3でミギュエル・プポにやられた。なんか試合になるとおとなしめになっちゃう感じなんだよね、コロヘ。フリーサーフィンは調子よかったんだけどな。フィリッペ・トリード。あの人のあのエアーにあのポイントをあげると、彼はだいぶ楽になると思う。フィリッペはあれ、いつでもどこでもできるから。ジュリアン・ウィルソンま、まだラウンド3なので、何とも言えないよね。ここを抜けて初めて話が始まるわけだから。ラウンド3は今回下がスタックサイド。ケリー、ジョンジョン、スーザ、タジ、オウエン、パーコと調子いいところが全部下半分に固まった。明日に続く……。aspジャパンサイト内のYuki's WT Ourlook...
WCT選手になっても猛練習の日々な訳
ガブ、ケリー、ミックあたりの上位ワールドタイトルコンテンダー組はおいといて、今回なんかけっこういいじゃん、と思うのはオウエン・ライト。故障で一線から離れていて帰ってきたときには、なんだかいない間にサーフィンもジャッジクライテリアもグッとカービング方向に振れてしまった上に、ツアーのレベルも格段にアップしてしまっていた。あのニューヨークのイベントあたりでケリーと年間の勝ちを2分していた当時のオウエンのサーフィンは、何となく古い感じというか、もうそれじゃないよね、時代は……という感じだった。たった1年離れると、こんなになっちゃうんだ、みたいなここ数年のサーフィンの変化も驚きだった。継続してずっと見ていると、変わってるな、変わってるな、と思っていても、誰も止まってないので、その変化を明確に判断するのが難しい。しかし、過去からやってきたようなサーフィンを並べてみると、その違いは歴然だった。しかし、今回のオウエンはだいぶ違うと思う。自分のサーフィンと、今のツアーのスタンダードの違いを徹底的に分析して、その差を詰めてきたと思う。ビフォーマイケル・チャンとアフターマイケル・チャンの錦織ぐらい違う。もっとも大きな変化は、彼のサーフィンのフロー、流れ、技と技のつなぎの部分だ。あくまでスムーズで、止まらないように努力しているのが見える。もともと体の大きい選手で、ひとつひとつの技は派手なのだが、どっちかというとカービングというより振り回し系だったので、板を返した後に止まるのが目についていた。今回はそこ、直ってると思う。板を返した後のレールの切替が今までより早いので、次のターンにスムーズにスピードをつなげていけている。相当練習したんだと思う。ま、WCT選手になっても猛練習の日々なわけだから、日本人からWCT選手が出ないってのは、そんなに不思議なことじゃないかな。やみくもにサーフィンすればうまくなる、ってわけじゃないし。