F+015号の誤印刷に関するお詫び

F+015号の誤印刷に関するお詫び

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いつも『F+ SURF CULTURE MAGAZINE』をご購読頂きありがとうございます。

この度、2014年9月10日より配布開始となりました「015号」内に、誤った内容の記事原稿が掲載されている事が確認されました。

読者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしました事、深くお詫び申し上げます。

◆対象の記事
P.46~「6 WEEKS IN TAVARUA」記事内

この中の、P.52に掲載されている原稿内容が、P.46の原稿と同一のものとなっております。

以下、正しい原稿を掲載させて頂きます。
※太文字部分が、正しい原稿となりますので、紙面と照らし合わせてご参考頂けますと幸甚です。


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6 WEEKS IN TAVARUA
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TEXT BY TOM SERVAIS

フィジーの波で一般的にいいシーズンと言われるのは、5月、6月だ。
サイクロンシーズンが終わり、少しずつ夜の空気がひんやりしてくる。そしてサウススウェルの季節がやってくる。それを狙ってASPの男女WCTイ
ベントがやってくる。もちろんケリー・スレーターもやってくる。
ウイメンズのWCTは5月の終わりで、6-8フィートといういいコンディションに恵まれ、サリー・フィッツギボンスが素晴らしいパフォーマンスを見せて優勝した。あの波であんなサーフィンをウイメンズサーファーに見せられちゃ、男子たるものちょっと困っちゃうわけだけど、最近のウイメンズのレベルの高さときたら、もう素直に降参しちゃおうか、と思うぐらいすごい。もちろんサーフィンは一般レベルの僕なんて、到底かなわないわけだけど。
そのあと、6月の前半の2週間が男子のWCTの期間だったが、波の予報は今ひとつだった。最終的には十分コンテスト可能な波に恵まれたけど、それはツアーのみんなが期待していたフィジーの波とはかけ離れたものだったし、クラウドブレイクのビッグコンディションを得意とする選手たちには、かなり厳しい状況だった。逆にオールラウンドに、どんな波でもリップする選手にとっては、スモールだけど形のいいフィジーの波は最高の舞台になった。
ミスターオールラウンドともいえるブラジルの若手筆頭、タイトル争いのトップを走るガブリエル・メディーナが優勝した。

コンテストピリオドをだいぶ残して試合は終了したわけだけど、そのあと海は完全にフラットになってしまった。ほとんどの選手たちは島を後にしたが、何人かは居残り、家族などを呼び寄せたりして、つかの間のリラックスタイムを楽しんでいた。そんな居残り組のひとりのケリー・スレーターは、結局6月いっぱいタバルア島に滞在し、コンテストピリオドが終わったあとに来たふたつのグッドスウェルを当てていった。
ケリーのタバルア好きは今に始まったことではないし、もう有名な話だ。かなり多くの時間をタバルアですごし、今までにたくさんのいい波を当てている。あの島に1か月も滞在するというのは、かなり原始的というか素朴な生活を送ることになるのだけど、実際にケリーはそんな生活がかなり気に入っているようだ。考えてみれば、ケリーみたいな人気者にはパーフェクトな場所かもしれない。誰にも追われることなく、人目も気にせずにのんびりとリラックスした時をすごし、いい波でサーフすることができるのだから。
波のない日は釣りに出かけたり、ツアーのコメンテイターをつとめる親友のロス・ウイリアムスの娘たちと、夜のビーチにシースネイクハントに出かけたり、気の向くままにのんびり過ごしていた。
彼がこの島を初めて訪れたのは25年前のことになるが、彼はここのすべてを気に入ったようだ。特にフィジアンの友人たちを。世界中の波予報を見るときに、ケリーのチェックリストには必ずこのフィジーが入っている。潮や風がピッタリ合いそうなら、すぐに飛行機に飛び乗り、置いてある自分のジェットスキーでラインナップに直行するのだ。

僕がこの島に滞在した5月後半から6月いっぱいには、6-10フィートレンジのスウェルが3回訪れた。タバルアのメインスポット、クラウドブレイクの波にしてみれば、ものすごくスペシャル、というわけではなかったけど、十分エキサイティングなものだったし、ほかのスポットであの波が立てば、そりゃエピックなコンディション、ってことになるんだろうと思う。最初のそれは、ウイメンズのWCTが行われているときにやってきた。
なんであの日にウイメンズの試合をレストランツじゃなくてクラウドブレイクでやらなかったのか、という疑問はずっとつきまとうが、結果的には早いうちにフィジー入りして練習をしていたメンズWCT選手たちのクラウドブレイクセッションになったから、それはそれでよかったんだけどね。
オウエン・ライト、マイク・パーソンズ、ナット・ヤング、ガブリエル・メディーナ、マイケル・ホー、ロス・ウイリアムス、ジョン・ローズマン、シェーン・ドリアン、マーク・ビッサー、キーラン・ペロウ、アンソニー・ウォルシュ……そして一番びっくりだったのは、10フィート4インチのサップガンを持ち込んでサーフした、レイアード・ハミルトン。日の出から午後まではいいコンディションが続いたけど、夕方には風が入ってかなりバンピーになってしまった。しかしその風も薄暗くなるころには止まって、また面がクリーンになってのラストセッションだった。あの日のクラウドブレイクは、男女合わせたASPのWCTフリーサーフセッション。選手ばかりでなく、ウェブクルーや関係者、カメラマンやジャッジ、ラインナップは誰もがツアーにいる顔見知りの面々、という感じだった。
そのスウェルの後、メンズのコンテストピリオドの2週間はずっと、ほぼフラットと言ってもいい状態が続いた。その中でもなんとかコンテスタブルな波を使って、試合はあっという間に終了した。試合後も島に残った連中は、釣りを楽しんだり、のんびり家族と過ごしたり、文字通りのアイランドライフを楽しんだ。

WCTで埋め尽くされた6月の2週目までが終わり、14日からの1週間は、オーストラリア人やアメリカ人のファミリーグループが宿泊客で、それぞれにタバルアでのバカンスを楽しんでいた。その週の木曜日に波が上がった。選手たちはみんな家路につき、残っていたケリーと、奥さんと新しく生まれたベビーとともにやってきたボビー・マルチネスがこのスウェルを楽しんだ。
メインのクロージングスポンサーだったFTWを離れ、自分のクロージングビジネスのSEA SICを昨年立ち上げたこと以外には、これといって大きなニュースは聞かなかったけど、ボビーのサーフィンを見る限り、何の問題もなさそうに見えた。早朝まだ薄暗いうちにケリーとともにジェットスキーでクラウドブレイクに現れ、それから少なくとも5~ 6時間はノンストップでサーフしていた。
身体もいい感じで絞れていたし、サーフィンは相変わらずシャープ。ボビーのサーフィンを見ているのはいつだって楽しい。ただ深いバレルをメイクするってだけじゃなく、長くて深いボトムターン、ストールの仕方、レールをチェックするかのように加速、減速して自分のポジションを自由自在に変えていくテクニックは、往年のボビーのままだ。普通にリップの下でテイクオフして、そのままバレルに突っ込んでプルアウト、っていう単純なバレルライドとはちょっと違うのがボビーのサーフィンの魅力だと思う。
そしてケリー。もちろんいつものように、信じられないパフォーマンスを見せてくれたよ。ここの所ささやかれているような、トップに居続けるのが難しいんじゃないのか、とか、もう一度ワールドタイトルを取るのは無理なんじゃないか、とかのネガティブなケリーに関するウワサは、こういう波に当たれば吹っ飛んでしまう。結局ね、いい波でやらせればケリーはいまだにみんなよりだいぶ離れて、世界でトップなんだってこと。つい最近のことだから覚えてるよね。ケリーはパイプで2連勝してるんだよ。パイプマスターズとボルコムプロ。どっちも素晴ら
しいコンディションのパイプだった。それでもまだ彼の実力を疑う?
ベストコンディションのクラウドブレイク、パイプ、チョープーを滑らせたら、結局いまだにケリーってことなのさ。サーフィンでのF1コースのような、ハイレベルなスポットをやらせれば、まだまだ誰もかなわないんだ。
6月の最後の週は、ビラボンウイークだった。オフィスのやつらやその友人、家族、そしてジョエル・パーキンソンも。パーコは家族全員を連れてバケーションにやってきた。パーコもケリーと同じぐらいフィジーが好きで、ビッグなクラウドブレイクには目がないんだ。

基本的には個々の宿泊客は1週間単位で交代する。土曜日にチェックインして土曜日にアウト。スウェルは再び上がる予報が出ていて、その波は日曜日に上がり始めて月曜日がピークというものだった。
ボビーはこのスウェルを待つほどは長く滞在できないということで、島を離れて行った。ケリーはもちろんステイ。そしてデーン・ガダスカスがやってきた。朝早くにケリーのジェットスキーでケリーと一緒にポイントにやってきたけど、一番乗りはパーコ。いつものようにうす暗いうちからポイントにいたのがパーコだった。本当にパーコは毎朝、朝一番のボートに乗ってサーフしていた。ケリーは朝イチ派とは言い難いけど、波さえよければ朝早くからサーフしている。ま、いつも薄暗いうちからいるパーコにはかなわないけど。
予報通り日曜日の午後には波は6フィートにまで上がった。ちょっとガタついてて、天気も曇ってはいたけど、明日ピークを迎えるこのスウェルのウォーミングアップには最適だった。

翌朝、ケリー、パーコ、デーン・ガダスカス、ジョン・ローズマン、何人かのローカルたちで、クラウドブレイクショーがスタートした。早朝から9時ぐらいまでがベストだっただろうか。でも、昼過ぎまでいいコンディションが続いた。朝のセッションはサイズばかりでなく、掘れ方も最高で、素晴らしいチューブライドがたくさん見られた。この日一番リズムが合っていた感じだったのはパーコだった。ま、ケリーやほかのクルーたちもそう離れてはいなかったけど、あのスムーズなジョエルのスタイルには、ほんの少し及ばなかった。何でもないことをやっているようにしか見えないんだけど、よく見ればものすごいことをやってのけている。それでもなぜか、安心して見ていられる。特にこういうコンテストから離れて、家族と一緒にいるときのリラックスぶりは、ただでさえリラックスしたジョエルのスタイルが、よりのびやかで、美しく見える。ジョエルは間違いなく、今の時代のサーフスタイルアイコンと言える。

楽しい時間には必ず終わりの時がやってくるものだ。このスウェルが去ってから数日、のんびりと釣りを楽しんだケリーは、1か月の滞在を終え、ようやくJベイの準備のために家路についた。土曜日までステイしたパーコは、火曜日の飛行機でJベイに向かうために家族とともにオーストラリアへの家路についた。わずか2日間だけ家にいて、再び南アフリカへ旅立つってわけだ。なんて忙しい人生なんだ。
タバルアを離れるときは、誰もがちょっとセンチメンタルな気分になる。みんなが名残り惜しいと思うくらい、そこが素晴らしい場所だからだ。でも、帰らなければ、また戻ってくることはできない。波打ち際でスタッフがみんなで僕の乗るボートに手をふってくれる。じゃあまた、必ず戻ってくるよ、と胸の中で呟きながら、僕はどんどん離れて小さくなっていく島を見つめていた。


なお、対象ページのPDFを公開いたします。
以下にて、ご自由にダウンロード下さい。

F+015号 P.46~P.53
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