今更のことなんだけど、考えに考えた挙句、やはり問題提起はしておくべきかな、と思ったので、書くことにした。
JPSA第2戦の結果についてだ。
優勝仲村拓久未、2位辻裕次郎。でも、本当は優勝辻裕次郎、2位田中樹、3位堀越力、仲村拓久未は失格……なのではないかと。
ま、表彰式も終わってるし、賞金ももらっちゃってるし、なによりヘッドジャッジがジャッジペーパーにサインしちゃってるだろうし、2位の辻裕次郎もファイナルにいたほかの選手からも抗議がないわけだから、結果は変わらないだろうし、変わらなくていいけど、選手や、ジャッジを含めての関係者、日本のサーフシーン全体に、いかに自分たちのルールに関する認識が甘いか、ということをもう一度猛省してもらうべくここに事実を時間軸で明記する。
もちろん、その場でこの事実に半分しか気付かなかった私も猛省だ。
ファイナルは仲村と辻の一騎打ち。残り1分ちょっとぐらいで辻に必要だったのが4点台だったと思う。しかも二人ともマキシマムウエイブは残りあと1本。当然仲村はマークに入っていて、そこにセット。ピークは仲村、ショルダーが辻。ふたりでテイクオフしてインターフェア。
当然辻にインターフェアがつく感じのシチュエーションだったのだが、コールはまだない。でも結果のわかりきった二人は互いをたたえ合い、ドラマドラマの仲村JPSA初優勝の流れで、ビーチに戻る波に仲村がテイクオフ。戻った後でのホーンだったと思う。
ビーチで見ていた私はこの時点で、あれ、今の13本目じゃん。と思った。ASPではインターフェアされたものにはエキストラウエイブがつくので、それがついての13本目ならセーフか、とは思ったもののJPSAのルールはわからないので、ファイナルが終わった後に本部で数人に聞いてみたところ、エキストラがつくということで、一件落着。スコアのスクリーンを見ても、その前の7点台のライディングが11本目、インターフェアがらみの1点台が12本目で、13本目のポイントはスクリーン上には出ていなかった。
それはそれで、あれれ?? とは思ったけど、スクリーンに13本目の行がなかっただけかな、と自分を納得させて、でも確認したいと思い、辻が近くにいたのでこの話をした。そしてそのあと仲村も含めてこの件で話をして、不用意にテイクオフをしてはいけないんだ、と話した。
あれがダブルだったら、万が一逆に自分が取られたら失格だぞ、と脅かして、笑った。気を付けよう、と仲村も言っていたし、辻もほんまやぁ~、と言っていた。
ふたりとも試合中にこの事実に気が付いていなかったことも大問題ではあるけど、事実確認という面では、ふたりともあれが13本目で、それはホーンの前だった、ということを認識していた。
ま、でもエキストラの1本で助かった、というのがその時点での私たちの解釈で、それも今となっては、私の不勉強、甘かった、ということになる。
数日たってオーストラリアのWQS選手と話をしていたら、え、それ失格じゃない? と言われ、私は目からウロコが落ちた。
そう、問題はいつエキストラウエイブが与えられるか、ということなのだ。
基本的にルールブックにありがちな文言としては、インターフェアがコールされた場合、どうのこうの、と罰則やエキストラウエイブのことが出てくる。
この、インターフェアがコールされた場合、それはイコール会場内のDJがコールした時点というのが常識的な判断だ。それ以外に海の中にいる選手が、インターフェアの正確なコールを知る方法がないからだ。
DJの細川氏が、インターフェアをコールしたのはホーンの後だから……と言っていた。だとすれば、今回の場合それはホーンが鳴った後、ということになる。となると、非常におかしなことになる。仲村にエキストラが与えられるのは試合後なので、ホーン前の13本目テイクオフの時点で失格が成立することになってしまうのだ。
たとえそれがホーンの前であったとしても何でも、私の記憶が正しければ、仲村が13本目にテイクオフした時点では、インターフェアのコールはまだなかったし、ホーンもまだなっていなかった。だからこそ、私はこの13本目の何気ないウイニングライド的なテイクオフが引っかかったのだ。
流れとして、両者マキシマム最後の12本目のライディングでインターフェアがらみ→仲村拓久未13本目にテイクオフで失格→ヒート終了のホーン→インターフェアのコール→エキストラウエイブ獲得するも時間切れ、試合終了……となる。
もしあれが、私と仲村と辻の数え間違いで、仲村の12本目であったなら、何の問題もないわけだけど、その場合は本人が数え間違えてちゃいかんしね。
あるいはインターフェアの起きた時点にさかのぼってエキストラを与える、というルール解釈も作れるのだろうけど、それだと、じゃ、どっちがどっちにインターフェアがわからない時点で、それっぽいほうがそれを見越してのエキストラにテイクオフする、みたいなことになるので、そうなるとそのルールがおかしいって話になるのだ。
このことは、その時点では結果オーライだったので次のF+のレポートのネタにしようと思ってたんだけど、結果オーライじゃなくなっちゃったので、書くことにした。
これはJPSAがどうとか、ジャッジがどうとかって話ではない。日本のサーフシーン全体の、選手も私も含めてのレベルの低さの問題だ。
選手の誰一人としてそれを疑問に思わない。メディアの誰一人としてそれを書かない……いや、それ以前に誰も気が付かない……とことん甘い。
これがWQSの上のほうやWCTだったら、選手からヒート終わった瞬間にクレームか、あるいはジャッジがふっつ~に赤失格、黄色インターフェアでも優勝という結果を出すと思う。WCTのジャッジというのは本当に冷徹なほど最後の1秒までルールブックにのっとってことを運ぶ。今まで何度も、こいつらすげ~な、と思った。
選手のほうも、もっともっとピリピリしてるので、辻選手ヒート後にジャッジタワーに駆け上がる、ぐらいなことがあっても何の不思議もない。
実際に私がこの話をした外人選手は、即座に正しい判定を何でもないようにしたわけで、いかに日本人がルールブックを軽視しているか、ということがよくわかる。
日本の選手は基本的にルールを知らな過ぎる。魔の13本目を教訓に、日本のサーフィン界がレベルアップに向けて全体の様々な部分で動き出すことを願う。特に選手のルールブックへの徹底的な理解を願いたい。それで1歩前に進んでくれれば、という願いを込めて、この爆弾をリリースする。
どうかあれが、私と仲村と辻の勘違いで12本目であってくれればいい、と、この期に及んでまだ逃げたいように思う。そう思うから、レベルが下がるのだ。私もジャーナリストとして、甘い。もっと勉強しなくちゃ。
皆さんはあのファイナルをどう見ましたか?