オウエン・ライト、ロンボクで負傷する

オウエン・ライト、ロンボクで負傷する

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ロンボクでは災難でしたね。その日は潮が引いてて、若干風が強く、かなり西寄りのスウェルだったようですが、それでも、やったんですかー
風はオンショア気味だったけど、そんなにひどくなかったんだ。試しに入ってみて、チューブを狙っていくつもりだった。あのとき仲間たちとバリに滞在しながら、チョープス(ビラボンプロ・タヒチ)に向けて調整してたわけ。デザートポイントは今回2回目で、過去にいい波に当たってるんだけど、もっと攻めてみようってことになって、チューブをさらに極めてみた。ただ、あのスウェルは西寄りだったんで、ものすごく長いセクションに突っ込むことができたんだけど、最後の波でミスってしまった。

そして、水面に上がってきたら血だらけだった…ってことー
そう、水面に顔を出した瞬間、やっちゃった! って思ったんだ。「うん、これは痛いぞ」ってかんじでね。リーフで怪我すると、「痛て~!」ってことになる。ただ、これはさほど痛みはなかったんだけど、沖に戻ろうとしたらボードのうえに血がポタポタ落ちてて、指を傷口に突っ込んだらすんごい奥まで入ってっちゃったんだ。

「あー、やばい、サーフィンできなくなる」って、次のチョープーの試合のことが頭をよぎったんじゃないですかー
ビーチに座り、仲間たちと医者になったつもりになって応急処置をやってた時に、はじめてそのことが頭をよぎった。僕が、「どのくらいひどいー」って聞くと、みんな、「えーっと」って答えないんだよね。翌日に波が上がる予定だったので、「瞬間接着剤で引っ付けて、バタフライ絆創膏で固定しちゃおうぜ」ってみんなに提案してみた。すると、「それでもいいけど、とりあえず、鏡で自分で見てみなよ」ってあいつらが言うわけよ。そんで鏡で見てみたら、「やばいじゃん! 縫わなきゃダメだ」ってことになった。

あなたの友達であるエディー‘ザ・プレデター’ブラックウェルでさえ、整形を勧めたと聞いてますが、ひどい切れ方だったんでしょうねー
あいつったら、「俺みたいになったらどうすんだよ。国に戻って整形してもらえ」って言ってたな。

ロンボク島で救急手当てを受けるというのは、それほど恐ろしいことなんでしょうかー
おー、やばいなんてもんじゃないよ。エドと俺がクリニックのなかにはいり(彼は俺の保護者のような役割だった)器具をチェックしたら、針とか手術用のベッドには、なんと血がべっとりついたまんま…しかも、錆付いちゃってるんだぜ。迷うことなくすぐ出てきちゃったね。他の所に行ってみたら、そこには新品の物が揃ってたんで、そこにした。傷口を消毒し、縫ってもらったんだけど、おそらくあの島で縫ってもらわないほうが、よかったのかもしれない。膿むんだよね。化膿すると、島にとどまっているのは危険になってくるんだよ。

それで、のんびり走るフェリーでバリに戻ったんですってー 高速船とかへりはなかったのー
これは仲間たちとのトリップだったんだぜ。そういうのは今回一切ナシだよ。そんで、そのフェリーがおそろしく遅くてさ、そこで頭も痛くなったんだ。残ってサーフィンしたかったのになぁ。波は上がってきてたし、チョープーに向けてメチャいい練習になるはずだったのに……でも、膿んできちゃったからね。脱出するしかなかった。

縫ったのは初めてじゃないですよねー
ノー、何回か縫ってるよ。ただ、抗生物質を飲んだのは生まれて初めてだけどね。病気知らずなんだよね、おれ。薬は飲みたくないんだけど、頭が腫れてきちゃったから、おー、やばいぞってな具合になったわけ。バリでは、縫った糸をまたほどいて(靴の紐が頭に縫い込んであるようだった)、化膿してたからそのまま開いたままにすることになった。その後、オーストラリアの病院で抗生物質の種類を聞かれたから素直におしえたら、「もっと強いのじゃないとダメですよ~!」と怒られた。怖い体験だったけど、綺麗に消毒もしてくれ、今はもう大丈夫。今日、また病院の予約があるんだ。傷はおでこのど真ん中だし(笑)、そこには洞があるから、今日はそこら辺のことを全部診てくれるらしい。

じゃあ、とりあえず傷を治し心配事をなくしてから、整形のほうを考えるってことー
それ。化膿を退治するのが優先事項。膿み方があまりにもひどいんで、医者も驚いてた。しかも、あっという間に広がったからね。かなり非衛生的な場所でした、って先生に言っといたよ。

チョープーにはその傷口をおでこに残したまま行くことになるんですね。でも、そのあと、うまく切り取って、整形手術してもらうー
いや、いや、あれはエドが俺をからかって言ったことだよ。

じゃあ、どんなに醜くても傷は残すってことー
ハリー・ポッターの傷跡のように。

インドネシアではチューブライディングの練習だけでなく、ボードの調整もしてたんですよね。そっちのほうはどうなったか、おしえていただけますかー
いいよ。パリッシュ・バーン(オウエンのシェイパーであるフィルの息子。彼自身もシェイパーである)と地元の友達たち(サウスコースト、NSW)と今回は旅してたんだけど、お互いをプッシュし合いギャーギャー言い合いながらサーフした。パリッシュが一緒だったから、ボードの細部にわたってディスカッションし合い、腰を落ち着けてゆっくりボードやフィンについて話し合えた。

来週、いい感じのスウェルがチョープーにヒットしそうですけど、ある程度サイズのある波だったらどんなボードを使用しますかー
通常のボードより2インチ長めのボードを選択するだろうな。6’3”か6’4”ってこと。若干長めで水の中に沈むボード…浮くボードじゃダメ。レールはソフトレールで思いっきりディープなダブルコンケーブ、それに僕のシグネチャータイプのラウンドテールってとこかな。楽にパドリングできるように胸の辺りにちょっと浮力を加えてもらうか。

グラッシングは強く作りますか、それとも軽さをとるー
充分スペアボードを持っていくつもり……とは言ってみたものの、チョープーのボードは普段のより多少強く作らなきゃならないから、多少厚めに巻いてもらうね。ただ、ほんの少し程度だよ。

現在、ASPワールドランキングにおいて9位につけてますが、あなたは根っからのコンペティターですし、狙ってるのはもっと上のランキングのはず。そんな状況のなか、チョープーはいい結果を残せる自分向きのポイントだとお考えですねー
レフトのバレルが大好きだからね。ツアーで、炸裂するレフトの波に乗れること自体、エキサイティングに感じる。きっと楽しくなるよ。ぜったいにいい結果を残したいし、トップ5に食い込みたい。いい結果をのこし…ファイナルまで行きたい。

チョープーのビッグウェイブに突っ込んだことありますかー
ほんとうにデカイのは乗ったことないけど、16歳のとき、ほら、アンディー(アイアンズ)が宙を飛びながらバレルから吐き出されたことあったでしょ! テイクオフしたとき足がはずれて、でも、またリカバリーした、あれだよ。あの日、僕はあそこにいたんだ。ああいう波に乗る自分の姿を想像する毎日だった。

ボビー・マルチネス(来ればの話だが)、ダミアン&CJ・ホブグッドら、その他のグーフィーフッターたちはどうだろうー
ボビーはグーフィーフッターのなかでも特にうまいね。でも、グーフィーフッター全員がうまいと思うけど。ホブグッド兄弟、フレディーP、ボビーってね。オッツ(カイ・オットン)も。グーフィーフッターの多くがあそこを得意としてる。みんなやってくれるさ。とくに今年初レフトの波だしね。

チョープーにおいて、革新的なバックハンドのチューブライディング・テクニックを極めたのはアンディーだけど、彼が得意としてたお尻と腕を引きずりながらチューブライディングするテクは、ナチュラルフッターにかなりの影響を与えたんではないでしょうかー
アンディがナチュラルフッターのために大きくドアを開いたことは確かだね。バックサイドで王者の座に君臨してたもんな。あそこで何回勝ったんだろ、彼ー 彼のおかげで多くの選手があそこで活躍できるようになった。

Jベイに出場できなくてオチてたケリーが、USオープンで優勝しましたね。優勝し勢いづいて来るケリーは、手強いでしょうねー
そうだね。場所がどこだろうとケリーに勝つのはたいへんなことさ。何年ツアー回ってんだろう、彼ー

いいと言われればすぐにでもサーフィンしますかー それとも、のんびり傷を治し完璧な状態でチョープーに臨みますかー
そう、治してからだね。そんなひどくないからさ。ただ傷跡はのこるだろうけどね。チャイルズ(写真家ジェーソン・チャイルズ)とエドがなんと言おうと、僕は、整形しないぜ。

今後もあなたの傷跡を監視し続けますので、正直な意見をのちほどお伝えすることにしますかー
チョープーで教えて。(笑)今の現時点では、なかなかいい感じで~す。

オウエン、ありがとう。タヒチでの活躍を期待してます。

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