最年少ワールドチャンピオン、カリッサ・ムーア

最年少ワールドチャンピオン、カリッサ・ムーア

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とりあえず、おめでとうだね。祝賀会はどうだったー

とってもいいお祝いだったわ。ハワイの子たち大勢とローラ(エネヴァー)、それに父とグレッグ・ブラウニング、レッドブルのピート、それにナイキのカーチスらと一緒に大勢でディナーをしたの。シンプルだったけど、それが私の望みだったから。

ものすごい数のお祝いの言葉が届いてると思うけど、そのなかでも心にしみるようなメッセージはあったー

本当に感謝の気持ちでいっぱい。フェイスブックのメッセージに一つずつ返事を書いてたんだけど、途中で、「これじゃキリがないわ。みんな宛てに一つ書くことにしよう」ってことにした。同級生のみんなからメッセージが届いたのは嬉しかった。コーチたちもそうだし、ここまで来る過程でお世話になったパンチョとかマイルス(パダカ)、シェーン・ベッシェン、アダム・ロバートソンといった人たちからもお祝いの言葉がきたわ。
ボブ・ハーレーからも。ハワイの子たちの一人がグウェン・ステファニーのもとで働いてる友達がいるらしくて、彼女が私のことを話したら、直接じゃないんだけど、それとなく、グウェン・ステファニーからお褒めの言葉をいただいた。これがいちばん凄い人からきたヤツね。

このゴールを達成させるためにここまで頑張ってきたことは、みんなも周知の事実だけど、いったい何歳のときに世界一になることを決心したのか覚えてるー

タイトル自体を狙いだしたのはいつだか思い出せないんだけど、数週間前、私が10歳だったころのホームビデオを観てたら、「お父さん、世界一のサーファーにあたしはなりたい」って宣言してたよ。
父と母が離婚したころに父宛にいっぱい手紙を書いたんだけど、それを祖母がみつけたの。あの当時、半分は母のとこに住んでたんだけど、そんなときに父に書いた手紙よ。
母と一緒のときはほかの事をして過ごしたんだけど、ビーチに行けなくて、それがつらかった。だから、「お父さん、サーフィンが恋しくてしょうがないよぉ。世界一になりたいから、また一緒にサーフィンするのを楽しみにしてる」って書いたの。本当に子供のころからの夢だったことがこの手紙の内容から分かってよかったと思う。

その話のついでに……あなたとお父さんは、ユニークな関係で成り立ってるけど、その辺のことを聞いてもいいー

私のサーフィン人生に父が関わってるということは、私にとってとても重要なことなの。私たちは最強のチームだし、私たちのことを批判的な目で見る人たちもいっぱいいるけど、それはコンペティションの中でしかふたりのことを見てないから、しょうがないのよ。
父は私には厳しいけど、これまでにいちばんやる気と希望を与えてくれたのは父だし、今日の私があるのは全て父のおかげと言っても過言じゃない。父は本当のことを言ってくれて、私のことを誰よりも信じてくれた。「お前なら出来る」って言ってくれた。素晴らしいことよ。
彼は私の父親であり、コーチであり、旅の仲間としても最適だし、親愛なるベストフレンド……こんな父がいてくれて私はラッキーね。

ブラジルで今シーズンのタイトル争いから脱落したあとのステフ(ステファニー・ギルモア)とワールドタイトルについて話す機会はあったー

おかしなものよね、これまでステフとは、コンテスト会場で、ハイ! って言うぐらいの関係でしかなかったの。もっと仲良くなる時間も機会もなかった。だから、答えはノーね。そのことについては話してない。
ラウンドワンの翌日、私は負けてラウンドツーに出る羽目になったんだけど、ステフと私でジャムセッションをやったの。もう最高。彼女がギターで、私は歌。これまでとは違った次元で初めて仲良くできたような気がして、めちゃくちゃ感激した。
その夜、すべてが終わってから、「とってもよかったわ。もっとレパートリーを増やしといてね。また次に会うとき一緒にセッションしましょう」って彼女に言ったの。
私がタイトルを手にしたあともステファニーはとっても優しくて、私を受け入れてくれたように感じた。それはうれしいし、新しく友達ができた感じなのよ。

ファイナルの最中、ふたりで何を話してたのー

私のなかではファイナルに勝って、初めてタイトルをゲットするっていうイメージがあったから、まさかビーチにいるときにそれが起きるとは思ってもみなかった。だから実感がわかないままファイナルに出て、あんまり興奮しすぎないように、かといってナーバスになったりしないように心がけてた。するとステフがニコニコしながら、「どう、うれしい?」って聞いてくるのよ。私は、「なんだかヘンな気持ち。 こんな気分になったことないよ。あとからくると思う、あとから」って答えるのがやっとだった。過去4年間、私が尊敬してきた人と一緒にいられたのはよかったかも。4年連続ASPワールドタイトルを獲得してる人だもんね。

ロキシープロ・ビアリッツを2位で終えたことに関して、なにか悔いはあるー

私にとってあのファイナルは、ワールドタイトルを手にしたあとだったから、35分間好きなようにパフォームすればいいフリーセッションみたいなものだった。勝てたら最高だったのにね。でも、文句は言えないわ。とにかくあの日は忘れられない日になったわ。

サリーはどうでしたー ふたりにとって今シーズンは特別な年になりましたよね。彼女とはどういう仲なんでしょうー

サリーは本当にいいコよ。彼女は私の大事な友達。陸の上で遊んでるときとか一緒に笑ったりしてると、とっても楽しいの。海にいるときは、お互いをものすごくプッシュし合ってる。彼女のおかげで今年は私のレベルもずいぶん上がった。ここまでくるのにずいぶんと努力したから、その分も今回のタイトルはほんとうに嬉しいの。色んな意味で彼女のこと尊敬してるわ。

今年、カリッサのサーフィンをさらに向上させるきっかけをつくってくれた選手は、他にいますー

女子全員いい影響を与えてくれる。タイラー(ライト)……彼女と戦った初戦は、とっても刺激を受けたわね。ココ(ホー)やアラナ(ブランチャード)といったハワイのガールズたちとサーフィンするのはメチャ楽しいし、彼女たちのありのままの姿が私にいい影響を与えてくれる。そこへもってきて、シルヴァナ(リマ)とコートニー(コンローグ)たちもいるでしょ。タクティクスでは彼女はものすごく強敵だから、彼女と戦うときは頭をつかわなきゃならないのよ。

コートニーやタイラーが2年目はパワーアップしてくるかもしれない。その事に関してはナーバスになったりするー

その事はまだあまり考えてない。でも、1年目っていうのは成長する時期だし、ツアーにおける自分のやり方や、初めてサーフするポイントに慣れる期間だと思う。来年はみんなもっと手ごわくなってると思う。

去年もっと努力をしてタイトルを狙えばよかったって考えたりしないー 1年目で勝てなかった悔いは残らないー 卒業式のためにイベントを欠席してるにもかかわらず、タイトル争いにからんでたよね。

ツアーを回ってる人たち全員の目標がワールドタイトルだと思うの。そのために戦って、それを仕事としてやってるわけでしょ。1年目はもっと自分に期待してたし、1年目からもっといい結果を出したかったってのはある。でも終わってみて、自分のたどってきた道を見てみると、高校を卒業し、やれることはやってきたし、色んなことを吸収してきたから、今年の自分があるのは1年目の苦労のおかげだと思ってる。勝つためには、負けることも必要なんだってことかしら。

史上最年少のASPワールドチャンピオンなんだよね。

カッコいいでしょ。チョー嬉しい。べつに、「もしワールドタイトルを獲ったら、最年少じゃん」……なんて考えてなかったし。でも、ちょっとカッコいい記録よね。

さーて、ひとつ獲得したことによって、これからは質問が百倍になって返ってくることになるよ。例えば、レインのように7つのワールドタイトルを獲れると思いますかー もしくは、ステフやリサのように4つ、獲れますかって……。

そんな無茶な……これまでの努力やサーフィンを最優先させてきたことを考えると、涙を流したこともあったし、色んなことを犠牲にしてきたけど、それだけの価値はあった。とっても楽しんできたし、ワールドタイトル以上に嬉しいものなんてこの世には無いから。
このあとのタイトルについてはまだ考えてないわ。まだ1つ目の感動にじっくり浸ってる最中だから。だけど、今後も自分のすべてを捧げていくつもりだし、このあとどうなっていくか将来を考えるだけでもドキドキする。ただ、ひとつ勝って言えることは、複数タイトルを手に入れているステフ、レインにリサたち……彼女たちの偉大さをもっと理解できるようになったってこかな。ありえないよね……マラソンみたい。

6試合で6つのファイナル進出……その数字を聞いて驚くー それとも来年もその調子でアプローチするつもりー

そんなことをはじめから計画してたわけじゃないから。ただ全てのイベント、全てのヒートに集中し、自分の能力を最大限出せるように努力したら、そういう結果になっただけ。

この1年でもっとも印象にのこってることはー

もっとも印象にのこってる思い出は、ふたつある。ひとつは、ブラジルで勝って海から上がってきたとき、うちの父がそこにいて最初にハグしてくれたことかな。そのとき、「アイ・ラブ・ユー、カリッサ。おめでとう。やったね!」って言ってくれたの。あんな風に父が迎えてくれたのは初めてなのよ。娘のやりたいように祝えるように、いつも影からそっと見守っててくれるのが父だから。でも、あのときあそこにいて、一緒にあの瞬間を味わえて、そして「お父さんの誇りだ」って言ってもらえたのは、かけがえのない喜び。私にとってほんとうに大切なことだった。

タイトルの価値を十二分に理解しているハワイという場所にタイトルを奪回できて、誇りに感じてることでしょう。30年ぶりというし!

ハワイでは沸きかえってるみたいだし、とっても嬉しく、誇りに思ってる。ハワイに感動をもたらし、みんなに刺激を与えられたらいいな。

ウイメンズのツアーは、今年、ハワイレッグがないんだよね。カリッサの新しい立場を使って2012年にはハワイにイベントを戻せないー

そうあることを祈るばかり。来年はハワイでコンテストがあるといいな。今シーズンは1試合もないなんて信じられない。QSもないんだから。でも、海外で成功し、地元を頼らずに遠征試合だけで結果を残せたことに満足してる。でも、このことによって、ハワイにイベントが戻ったら、最高なんだけどなぁ。

ターゲット、レッドブル、ナイキってスポンサーがカリッサの後押しをしくれてるわけですけど、その力を利用してウイメンズ・サーフィンの向上に役立てられないー

そのことについては前々にも考えたことがある。とくに今のツアーの現状をみてると、今年は試合数が減ったわけだし。父と話してて、「お父さん、私が世界チャンピオンになったら、みんなの模範になるような人になって、若い女の子たちを引っ張っていきたい」って言ったんだけど、ウイメンズサーフィンを取り巻く環境にいい刺激を与えてウイメンズサーフィンがもっと繁栄するようになっていったらいいと思う。

カリッサのスポンサーであるナイキが初のウイメンズのWTのイベントを開催し、それと同時にそのイベントはカリッサにとってはワールドチャンピオンとして初めてのイベントになるわけですよねー プレッシャーはあるー それとも、ワールドタイトルに花を添える余興みたいなものだと思ってるー

USオープンは、楽しみなんてもんじゃない。ツアー最終戦であり、初めてWTのイベントに昇格したんだから。すごいよ。最終戦をやる場所としてハンティントン以上にいい場所なんて他にないでしょー これは重要な試合だから、冷静に取り組もうと思ってる。

そして、そのあとは6ヶ月のオフですね。なにかビックリするような予定とかあるー それとものんびり過ごすつもりー

もちろんやりたいことがいっぱいあるから、スポンサーに早くそのリストを提出しないと…なんちゃって。楽しいトリップには絶対行きたいって思ってる。この6ヶ月間、試合だけに集中してきたから。だから、向こう6ヶ月は映画や写真をやって、インドネシアに行きたい……ボートトリップとかー メキシコでもいいし。まだはっきりしてないけど、波があるところに行くことになるでしょうね。だけど、普通に楽しくサーフィンしながら自分のサーフィンに磨きをかけて、来年もまたやる気満々で戻ってきたいわ。

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