ガブリエル・メディーナという選手

ガブリエル・メディーナという選手

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ラウンド1ではワイルドカード連中による番狂わせが続出したわけだけど、ま、ここはケリーのおひざ元のアメリカなので、ここに住んでいるブラジル人(結構多いけど)以外の99%近い人が、ラウンド2でガブがラオニに負けて、ケリーが優勝すればいい、と思ってるわけだ。
この、負ければいい、と思われる感じ、というのは相当のプレッシャーというか、不安を選手にもたらすもので、全盛期にひたすら勝ち続けてた当時のケリーがよくこぼしていた。ビーチにいるみんなが、僕が負ければいいと思ってる。それはものすごい孤独感だ、と。

今、ガブが初めてそれを食らってるんだと思う。
ガブリエル・メディーナという選手は、そういうプレッシャーのようなものとは無縁の選手としてここまで来たが、それは追われる立場としてのものではなく、ずっとチャレンジャーであり、追いつけ追い越せで、なにくそ全力でやって上に上がってやる、って感じだったことも大きく影響していたと思う。
しかしタヒチでの優勝以降、彼以外の全員が、真剣に彼を破ろうとマークし始めてきた。それと同時にトップ選手としての注目度も増す。目指す上はもうない。自分が世界の頂点に立ち、タイトルが夢ではない状況は初めての経験だし、そこに持ってきてお気に入りのマジックボードを折る、という不運に見舞われ、ラウンドワンをワイルドカードにやられる、というアクシデントもプラスして、何となく内心嫌な感じなんだろうな、と思う。言い知れぬ不安、みたいな。

ラウンド1はまさにそんな感じだった。いつものガブらしくない、今一つ突き抜けきれない感じ。そのあとのフリーサーフィンも、悪くはないんだけど、なんかつまんない感じというか、パッとしない。バックアップの板が微妙に合わないせいもあるだろうけど、メンタル面も大きいんだろうと思う。
ま、ラウンド2でこれを跳ね返してラオニに快勝するようなことがあれば、また吹っ切れて上位にいっちゃうんだろうし、そうなるとタイトルはハワイ前に決まっちゃう可能性が濃厚になる。

ラウンド2の波はオーバーヘッドの予報なので、ラオニが得意とする波だし、ラオニにしてみれば、同じ国の仲間とはいえ、後輩にいいようにやらせておきたくはないだろう。この辺で釘さしとかなくちゃ、って感じだと思うし、自分をアピールするいいチャンスでもある。
ラオニが爆発して、昨年のベルズのパーコ戦のようなことになると、ガブのサーフィンではかなわない。ロウワーのオーバーヘッドとなればガブに有利なエアー合戦は考えにくいし。
とはいえ、ケリーもどうやらしっくりくる板が見つかっていないようだし、相手のジェレミーも出場停止明けで燃えてるので、簡単に片付く相手じゃない。ガブ、ケリーが早い段階で落として、ミックが来ると昨年の再現フィルム。
この試合は今シーズン、ASPの名のもとでの最後のタイトル争いの大きなキーポイントになることは確実だ。

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