リクエストにお応えして、ケリー、ミック、パーコ、CJ対談和訳第2弾。お題はアンディについて。下記リンクの映像と照らし合わせてご覧下さい。
ちなみに、会話の中に出てくる“スティーブ・シャーマンの写真”が気になる方。F+ MARKETコーナーで絶賛発売中のドキュメンタリー写真集『KELLY SLATER X(ten)』にばっちり収録されてます。
http://www.surfline.com/video-premiere/world-champ-round-table_103363
『アンディ』
ケリー(以下、K):アンディって、90年代のあの時期、ツアーのみんなが仲が良くて、コンペティションとかそんな感じじゃなくて、ものすごいライバル意識とか、憎み合ってる関係とか、そういうのがない時代にポンって出てきたひとつの刺激的なものだったんだと思う。おい、いい加減にしろよ、コンペってこんな生ぬるいもんじゃないだろ、みたいなさ。でもって、絶対に謝らないっていうか、屈しない。
パーコ(以下、J):ものすごく楽しませてくれたよね。
K:あぁ。個人的にあとで、ごめん、つい出ちゃったんだぐらいに謝ったりもするんだけど、試合の時とかは全然そんな気配もなくて、いつだってファックユー、って感じで怒ってる。もうコソコソ隠れてるか、知らん顔してるしかないよね。
ミック(以下、M):だからこそ、みんなが感心したんだと思う。彼に支配されちゃうっていうか、顔色うかがうっていうか。とにかく顔を見れば、彼がその時何を考えてるかがはっきりわかるんだよね。
J:俺たち全員にションベンかけたことは間違いないね。たぶんファンにとっては違ったかもしれないけど、俺たちは全員食らった。ライバルって何かを思い知らされた感じかな。特に君(ケリー)とかさ。
M:実際きみ(ケリー)を変えたじゃない。あの年、っていうかあのやりあってた数年間、すごく個人的に憎み合ってるみたいでさ、バチバチだったよね。
CJ(以下、C):それはものすごかったし、ものすごくふたりをリスペクトしてたけど、それでもはたから見てる分には、超面白かったよ(笑)
M:うん、俺らにとってはね(笑)
C:フィジーでさ、ある年、たぶん自分がツアー回りはじめて2年目ぐらいだったと思うんだけど、アンディが全員をコテンパンに叩きのめして、ファイナルでコリー(ロペス)をコンボにしてさ。その時パット(オコーネル)に聞いたんだ。パットはその時もう長いことツアーにいたからさ。心底正直な気持ちの質問だったんだけど、ケリーはさ、いつもこんなに圧倒的に勝ってきたのー って。とにかくあの年のアンディの勢いったらすごかったんだよ。
あれ、あの年は君(ケリー)がツアーから離れたてた時ー それともいたんだっけー
K:僕がツアーから戻ってきた年にアンディが最初のタイトルを取ったと思う。
C:オッケー、じゃ、キミもきっとあれにはショックを受けたよね。今でもパットの答えを覚えてるけどさ、パットは、ケリーがこんなに圧倒的な強さで勝った記憶はないって。君がどう思うかはわからないけど、とにかくあの試合はものすごく印象に残ってる。
M:徹底的に勝つ。実際にはもう勝ってるのに、いつまでも戦いをやめない。
J:それと同時に、彼にはリードされてからの逆転ってのも多かったよね。
K:あぁ。もう絶対に負けるだろうって思ってたヒートで、いきなりポンポンって決めて、ファ~ック、逆転したぜ、みたいなのもたくさんあったね(笑)。
C:チリでさ、みんなボロボロアンディにコンボ負けくらって……
K:あれ、きみ(ミック)がファイナルにいたんだっけー
M:違う、セミで負けた
K:アンディにー
M:そう。
J:デーモ(ダミアン・ホブグッド)がファイナルだったよね。
C:そう、デーモが食らったんだ。
M:あぁ、リーフにヒットしたんだったね。
C:そんなことはまったく関係なく、完敗(笑)
J:今思い出してたんだけどさ、覚えてるー ハワイでのレッドブルハウス事件。
お前(ミック)が下にステイしてて。ブルースが2階にいて、キミ(ケリー)が来たとき。俺はカウチに転がってて、いや、床だったかな。サーフィン雑誌読んでてさ、そこにキミが入ってきて、ちょっと顔あげてみたらキッチンでアンディが超不機嫌になっちゃってて……覚えてるー
K:あれこそ典型的な誤解ってやつなんだけどね。
アンディがあそこにステイしてるなんて全く知らなかったんだ。あの当時ブーストのライダーでさ、ブーストのスタッフでダミアンってのがいて、彼を探してたんだ。外で誰かにダミアンの家探してるんだけど、って聞いたら、そいつがそこの家にいるっていうからさ。もしかして違うダミアンだといけないからって思ってまた確認したら。その家だっていうから、入って行ってダミアンいるー って聞いたらアンディがさ、くっそダミアンなんて、ここにはいね~よ、って(笑)。で、ここで何してるんだっていうから、ゴルフに行こうと思って、って言ったところで、あれ、これはまずいぞって、一瞬固まっちゃってさ、あれ、おれなんかヤバいことしてるー みたいな
J:冗談じゃないよ、みんな違うこと言ってるぜ(笑)。あぁ、あのときお前(ミック)がカウチにいたんだ。で、俺がフロアだ。俺たちもどこかに行くところだったよな。
K:アンディはあれは俺が完全にわざとやったと思ってる。完璧に彼をいやな気分にさせようと仕組んだって思ってるんだ。
M:でもさ、あの時シャーマン(カメラマン)がいたよね。
J:シャーマンが写真撮ったんだ。
M:シャーマンはあの事件のわずか5分前に来たんだぜ。俺ら黙って座ってて、考えててさ、シャーマンが仕組んだのかー って
K:えっ、写真撮るために仕込んだってことー それは考えたことなかったな。
M:あの朝、俺らリビングでダラダラしてて、アンディはキッチンで料理してて、キミがひょこり入ってきて、みんなちらって見て、とにかくあの家にはいつも人が出入りしてたからね。でもそれがキミ(ケリー)だからさ、みんなシ~ンって感じ。
キミが出てったあと、家の中にいた全員が顔を見合わせて、なに、今の、みたいな。で、アンディ大爆発(笑)。でさ、その事件の5分前にシャーマンが来たんだからさ。
J:シャーマンは写真撮ったんでしょー
K:撮ったね。あの部屋の中にいて、シャカシャカってスナップ。
アンディはさ、いつも正しかったわけじゃないけど、いつでも正直だったよね。自分の気持ちに正直だった。
あれ、みんなあの時フィジーのボートに乗ってたっけー オレとアンディがケンカしたとき。2週間前に父が亡くなってさ、なんか俺は俺でどうかしてたんだけど、みんなで超酔っぱらってさ、夜中にボードでメインの島からタバルアに帰るときに、ふざけて海に飛び込んだりして、ボートドライバーに叱られて、みんな一気にシュンとしてた時に、アンディが僕の髪の毛のことをからかってきたから、俺が、お前いくつか試合に勝ったからって、俺がトップだと思ってるんだろ、って、言い返して、そこからふたりでもみ合い。シェーンが俺を押さえて、あわやのところで大事には至らなかったんだけど、10分ぐらいしたらアンディがいきなり泣いてハグして謝ってきて……あれこそアンディなんだと思う。感じたことがそのまま行動に出るんだ。
C:彼のスイッチの入りかたもすごいよね。
どんなに仲が良くても、一度怒りのスイッチ入っちゃうと、誰もオフできない感じっていうのかな。いつだってずっとそのことを覚えてるし、気にしてるじゃない。こいつが俺を陥れようとした、こいつが邪魔しようとした、こいつが俺に危害を加える、……って。
K:フリーサーフィンの時にさ、パドルバックする時にいきなり、俺が勝ったよな、その前はお前だけど、俺が勝ったの見たよな、って、いきなり(笑)
M:ものすごい競争心だったよ。すべてにおいて。自分が得意じゃないことに対してもね(笑)
K:フィジーでゴルフに行ったとき、アンディもフレッドときてたんだけど、僕たちの前を回ってて、すごい低レベルの戦いをしてたんだ(笑)。もうさ、レベルなんて関係なく、とにかく競うんだよね。
C:うまいサーファーって、サーフィン以外のことがダメだったりすることが多いけど、アンディってサーフィンがやたらうまいのに、それ以外のたくさんのことでほとんど使い物にならないぐらいダメだったよね(笑)。
K:自分で自虐ネタもしてたよね。リンディ(アンディの未亡人)のほうが彼よりゴルフがうまいんだ。アンディは、そりゃ悔しかったと思うんだけど、自分で、彼女にやられちゃったぜ、クソ、みたいに笑いとってたよね(笑)
J:テニスは誰よりもうまかったけど、それ以外は……
K:でもそういう性格がうまく回るときもある。タイトル争いをしてた時、ほぼ決まりそうなフランスで俺きみの弟(ダミアン・ホブグッド)に負けたんだよ。そしたらアンディにスイッチ入っちゃって、ポンポンポンって……マズ・クインにほとんど負けそうになってたのにさ……
C:あぁ、わかった、あの時の午後だ……
K:そう、で、あぁ、アンディも負けるんだって話してたら、いきなり逆転して……俺が負けた瞬間、アンディがこの試合を簡単に優勝するって分かってたよ。だってスイッチ入っちゃうのわかったから。で、そうなると、もう彼をその優勝へのレールから追い落とすチャンスなんてないんだ。誰も彼を止められない。波はバレルからチョッピー、オンショア、ハイタイドって、どんどんひどくなったけど、アンディはなにひとつミスはしなかった。
J:タイトルを取ってた3年間だってさ、普通はとった次の年は少し変わるものなのに、とる前とずっと同じの闘争心だったよね
C:そう、誰が追ってきてるんだ、誰が追ってきてるんだ、って。ふつうタイトルを取ったら、もう一度とりたいとか、少し落ち着いてそういう風になるものなのに、彼はずっと追ってくる敵を気にしてる感じ。
K:そのほうが緊張感をキープできるよね。こいつが後ろにいるのかよ、追い落とさなくちゃ、って……
C:何に対しても彼はそういう風に考えてたよね。”