ジョシュ・カー、ジャッジを語る

ジョシュ・カー、ジャッジを語る

0
シェア

彼は、ケリーと互角に渡り合い、他のCTメンバーも押さえて、現在レイティング7位につけている。新しいタイプのエアーを得意とする選手が出てきていることも否定しないし、逆に彼らのクリップを見てモチベーションを上げているようだ。最近、彼の名前がメディアのあちこちで出てくることも、ちゃんと自覚してる。

これは、彼が変わったことを意味するのだろうかー 大人になったということー 彼の本来の姿を投げ捨てて、純粋なコンペティターになったということなのだろうかー いや、たぶん違う。彼はただ、ヒートにリラックスした状態で臨むことによって、今までの殻を突き破ったんだ。今のところ、そのアプローチの仕方は上手くいってる。

昨年、君はコンテストのことは気にしてない、ツアーにいる事自体も気にしてないと言ってたよね。でも今、君は上位につけてる。それは、まだどこかで結果を気にかけてるってことだよねー
いや、気にかけないようにしてるよ。気にするようになったら、また負け始めると思うんだ(笑) 試合に入れ込んじゃうと、シンプルに、かつ自由にやった時と比べて、上手くいかないことに気づいたんだ。どうにも、それだけで頭が一杯になっちゃってね。僕の場合、シンプルにやる必要があるみたい。だから今はただ普通にやって、ヒートの最後の5分間はひたすら相手をマークしてる(笑)

君がヒートに向かうモチベーションって何ー
違うアプローチで攻めるようにしてるよ。ジャッジに、何かエキサイティングなものを見せたいって思ってる。それが上手くいって、良いスコアが出た時には、テンション上がるね。

今年のツアーでは、何か今までとは違ったことをしてるー
いや、特に。ただ、上手く回り始めてるって感じ。ヒートを重ねるごとに自信がついて、その自信がまた次のヒートで上手く働く。だからヒート前でもあまり緊張しないし、ヒートに対する、いい意味での期待だけを持ててるね。

ファイナルまで行くには何が必要だと思うー
わからないな。毎回セミまでは行くんだけど、相手はみんな一流だからね。だから、単純にもっといいサーフィンをするしかない。でも、一方であまりそれを意識しないようにもしてる。ファイナルをメイクするには、それができるような流れの時だけ。で、その流れを作るには、ただリラックスして波に乗り、楽しむ以外に無いね。

今、君はタイトル争いができる位置にいるわけだけど、ヒート中にそれを意識したりするー
ヒートのラスト5分間で、あと3ポイントだけ必要、みたいな状況の時だけ意識するかな。でもそんな状況じゃない限り、意識しない。意識しはじめた途端に、自分のサーフィンが崩れるのがわかってるからね。ベストの状態で向かわない限り、ツアーの誰にだって勝てないよ。

君にとってのフリーサーフィンは、コンペティションにおいても重要ー
ああ、大事だね。やっと、フリーサーフィンよりもヒートの方が上手くいく、みたいな事も起こるようになってきた。フリーサーフィンがどうしようもなくても、ヒートではやれる気もする。フリーサーフィンの時の、何も考えず集中してる感覚を、ヒートでも再現出来るようになってきてると思うよ。

最近、君とケリーはよくヒートで当たってるよね。君のシーディングが、クオーターでケリーと当たる位置なわけだけど、今のところ1勝1敗。ケリーとのヒートについて話してくれないー
ケリーとのヒートはエキサイティングだよ。昨年は1回も彼とヒートで当たらなかったんだけど、今年に入ってから全部の試合で当たってる。彼に勝った時なんか、嬉しくて仕方ないよ。「よし、あのケリーに勝った! 」って感じ。彼のヒートは世界が注目してるわけだし、「やってやる」って気分にさせるよね。自然といいヒートになるはずなんだ。まだ彼とのヒートで最高のパフォーマンスが出来たという印象はないんだけど、バッチリ決まる時が来たら興奮するだろうね。僕と彼のファーストライドがともに9.5みたいなヒート、想像するだけで楽しいね。

ケリーがいないコンテストはやっぱり違うー
やっぱりちょっと違う。ケリーがいないってことは、彼以外の誰かが勝つということが事前にわかる(笑)。で、みんなは優勝のチャンスが増えたこと喜ぶ部分もちょっとある。でもやっぱり彼がいないと、どうもしっくりこない。僕は毎回彼のヒートを見るんだ。ガブリエルとか、ケリーとは世代の全く違うニュージェネレーションのサーフィンを見るのも純粋に楽しいと思うんだけど、ケリーはいつの時代も常に最先端にいるからね。

エアリアルとパワーサーフィンについて、君の意見はどうー
別に相反するものじゃなく、互いに高めあっていく存在だと思うよ。それが将来の主流になると思う。誰もがパワーサーフィンとエアリアルの両方をこなせるサーファーになっていく。だってそれがヒートで勝つ唯一の方法だからね。ジャッジはそれを求めてる。全てのコンディションで、エアーだけかませばいいわけじゃないし、それが出来るとしても、パワーサーフィンがより評価される状況もあるんだ。だから、今やエアリアルとパワーサーフィンは同じカテゴリーにあると認識すべきだと思うね。

エアリアルは前より高く評価されてると思うー
昨年は、どんなエアーが難しいのかを判断する過渡期にあったと思う。今年は上手くいってると思うよ。平凡なエアリバースやグラブに高い点がついたりしないしね。ジャッジはよくわかってきてると思うし、かなり的確だね。

ジャッジはエアーに対して、明確な得点基準を持ってると思うー 例えば、このグラブ、あのローテーションとかには何点みたいな。
ああ、間違いなく持ってる。グラブの難しさだけじゃなくて、エアーするセクション、さらには着地する場所も関係してると思う。エアーに向いてるセクションもあるし、難しいセクションもある。ケリーがベルズでやったような……難しいセクションだったのに、彼は決めた。あれはクレイジーだよね。でも、それがエアーに対するジャッジのポイントになってくるはず。どれだけヤバいセクションか、どれだけ高くて、どれだけ着地が難しいか。空中でのテクニカルな部分は、その後の話になると思うよ。

ずっとエアーばかりやってたら、低い点がついたりすると思うー
もしずっと同じエアーなら、ジャッジは飽きると思う。バリエーションが必要だね。エアーをガンガン決められるってのもいいけど、それが全部違うバリエーションだったとしたら、もっと凄いよね。他と比べると、ロウワー(トラッスルズ)がソフトだし、セクションも安定してるから、みんな同じとこで飛ぶ。そこでグラブ、ローテーションとかのテクニックの差が出てくると思う。

ガブリエル・メディナについてはどう思うー 彼とのヒートは今まであったー
昨年、トラッスルズで1回当たったね。その時は、彼にとって初めてのWTだったと思うんだけど、僕が勝ったから、今のところ1勝0敗。でも彼のサーフィンは凄い。まぎれもなく天才だと思うよ。彼のやってることが全てを物語ってるね。あの世代のWTメンバーは、まだものすごく若い。もう優勝経験があるっていうのに、キャリアのピークまでにはまだ10年もの時間が残ってる。だから、彼らがピークを迎えるとき、また新しい世代が出てくる時にはどうなってることか、想像もつかないよ。きっととんでもないことになってるんだろうけど。

あんまりトリックに名前をつける(もしくは考案者自身の名前にちなんだトリックを持ってる)サーファーはいないわけだけど、また新しい、kerrupt flip(ジョシュ考案のトリック。フロントでのエアーだが、普通のローテーションとは逆方向に、かつ体の軸をほぼ水平にして回す)のようなトリックは出来てきてるのー
そのネーミングについては、ちょっとやりすぎた感があるんだ。だから、次の新しいやつは、軽い名前をつけるつもり(笑)。でも、ホントにいくつかの新しいトリックにトライしてる最中で、誰かが成功させる前に完成させたいと思ってる。ひとつはステイルフィッシュ・エアリバースの変形で、ちょっと回転を加えたようなやつ、もうひとつは、これはマジでメイクしたいと思ってるんだけど、2回転のアリウープでメソッドグラブかミュートグラブを付けたやつ。後者がメインだね。

ビデオクリップは、君にとってどれだけ重要ー
大事だよ。いつもネット上でサーフィンの映像を見てる。見るのも、それに出るのも凄い楽しい。ネット上で、自分のビデオに対してのいい評判を目にしたりすると、単純に嬉しいね。ネット上のビデオクリップには、いつもサーフィンの最先端があるからね。クリップは撮り続けてるんだけど、編集中で最近自分のサイトに上げられてないんだ。だから、ちょっと我慢して待ってくれると有り難い。それとは別に、フルムービーも撮ってるんだ。トリップごとに、ウェビソード(webisode)としてまとめてる。

チューブとエアー、どっちが楽しいー
チューブが楽しい。サーフィンの真髄が、チューブだからね。いつの時代もそう。そういう波では、エアーやターンをする必要も無いし。

5年後の自分をどう見てるー
映像、ビデオクリップの分野では、ある程度満足出来つつあるんだ。新しい世代がどんどん出てきてるし、それを楽しんで見てる自分がいる。それが自分が映像から距離を置きつつある理由かもしれないし、とにかく今はツアーでいい結果を残したいと思ってる。そうだね、5年後もツアーで、若い世代達相手に奮闘できればと思うよ。

翻訳/MIJI
写真/asp kirstin

コメントなし

返事を書く