ミックかケリーか、エアーマスターのジョシュ・カーの見解

ミックかケリーか、エアーマスターのジョシュ・カーの見解

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ファイナルでのケリーの10点満点を解説して。
あれは……完璧に、ヤバかった。その上、非常に周到に実行されたよね。これまでに見たことのあるフラットな場所に着地したノーグラブ・フルローテーションの中でも、最大の部類にはいることは確かだ。あんなビッグスピンをした後に平らなとこに着地を試みるのは、ウエイド・グッデールぐらいしか他に思い当たらない。
ケリーがやった、あれは、足首を折ってしまうような危険なマニューバーさ。あれを見たとき、そのことだけが気になったよ。両足首を砕いちゃうんじゃないかって。
ああいうのをケリーがやるのは、そういう状況に追い込まれたときだけ、つまり相手にコンビネーションに追い込まれたときに限られる。
フリーサーフのときあんなことやってるの見たことないし、ビデオにも出てこないでしょ。彼は非凡なアスリートさ。ヒートとなれば、自分自身の限界も超越しちゃうんだ。あれは試合中に出た史上最大のフロントサイド・フルローテーションであることは間違いない。板を蹴り上げたあと、フラットな部分に着地するまでに、クッションになるようなものは全くなかった。着地まで、えらく遠く感じたはずだよ。

じゃ、ずいぶん荒っぽいことをしたんだね。
あのサイドからオフショアっぽい風のなかでエアーをかますとなれば、あれしか選択肢はなかったと思う。あの風に乗せるには、ローテーションをするとき前に出るしかないんだ。そうすることによって、風に対してボードをフラットに押し付けることができる。それを彼は分かってたんだ。メチャクチャ頭いいからね。
あのエアーは計算し尽くされたマニューバーであり、成功する確率も高いと判断してたんだろうな。でも、いいこと教えてあげよう。あのコンディションでエアーをするのは、不可能に近いぐらい難しかったんだぜ。

ジョシュの目から見たら、どっちが勝ってたと思うー
ファイナルでベストマニューバーを決めてたのは、どう考えてもケリー。でも、あれはどっちに転がってもおかしくないヒートだった。それぞれにまったく違う方法での攻め方だったから。
ただ、一般的にどっちに転がってもいい場合、勝つのは大抵ケリー。だから今回はそうならなくて、なんか変な感じがしたんだよ、きっと。ただ、いつも彼の思惑とおりにいくとは限らないからさ。今回は、その例外だったってこと。
ミックにとってはオーストラリアで行われ、ベルズが会場だったことが幸いしたんじゃないかな。もし、あれがトラッスルズかなんかで開かれてたら、ケリーが勝ってたと思う。
(つのだ注/ローカルびいきの結果ということではなく、その場所の波ではどういうサーフィンが求められるか、というクライテリアの部分だと思われます。パイプで飛んでもダメ、というような話)
ただ、さっきも言ったけど、どっちに転んでもいい場合は、ジャッジのせいにしちゃいけないよね。僕はこの目でナマで見てて、ミックが負けていたとは絶対に言えない。それだけは確か。

もしあなたが2013年のワールドツアーのスケジュールを決める責任者だったとしたら、ベルズをスケジュールに入れるー
今年が無かったら、たぶん、入れないって言ってたかも。なにしろ今回のサーフィンのレベルは異常に高かったからね。
ただ、はっきりしないのは、サーフィンのレベルが上がったからなのか、それとも今回の波がそれを可能にしたのかってところがよくわからない。ベルズでサーフィンしたことはそう多くないんだけど、イベント中ずっと隣のウインキーポップのほうが良かった。ウインキーポッププロにしちゃえばいいのに。
でも、歴史があるからね。それにケチをつける気はないよ。今回は勝手が違ってやりづらい部分があった。ああいう波では絶対使うことのないボードに乗る羽目になった。なにしろあそこでは、長めのボードに乗るしかないんだ。違う自分のサーフィンを試される波ってことなんだよ。自分の弱点が暴かれてしまう波だけど、それと同時に長所も出てくる。ただ、もし、僕がスケジュールを組む責任者だったら、外しちゃうかもしれないよね。あってもいいけど、自分で自分のツアーを考えるんだったら、すべてをインドネシアでやっちゃう (笑)。

5年間ツアーを出たり入ったりしてたけど、この頃プレッシャーから開放されてきたね。今年はこれまでと違う確かな感触みたいなものを感じるー
いや、ぜんぜん。昨年は調子よかったけど、今年の初戦にではまったく自信は無かったといっていい。昨年はすごくツイてたけど、今年はそうは行かないぞ、 みたいに思ってる。でも、なにも変えずにやってるよ。ただ、いつも通りにサーフィンしてるだけさ。
しいて言えば、大会中のヒート前のやり方をシンプルにすることを学んだ。ただヒートに出場し、2本いい波に乗って、乗る波すべてを完璧に切り刻む。それだけのこと。ヒート前のヘッドフォンや瞑想はやめた。ただ、リラックスして、エンジョイし、サーフィンで表現するのさ。

写真上から 
ジョシュ・カー/ asp kirstin
ジョシュ・カー/ asp kirstin
ミック・ファニング/ asp steve robertson
ミック・ファニング/ asp steve robertson
ケリー・スレーター/ asp steve robertson

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