ブロック・リトルという人

ブロック・リトルという人

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先日、ブロック・リトルがガンのため48歳の若さで亡くなった。
今までやったいろんなバカなことで、とっくに命をなくしててもおかしくなかったんだからさ……と彼は言っていたというけど、改めて人の命のはかなさを感じる。ガンを自身のインスタで告白してから、わずか1か月後のことだった。

もう10年以上前、いや15年ぐらい前かな。フィジーのタバルア島のレストランの前のデッキで、波のない日に朝食後、ダラダラ世間話をしていたことがあって、時に大爆笑、時にジェスチャー入りの漫才っぽい盛り上がりを見せ、近くを通る人は眉をひそめるぐらいの盛り上がりぶりが数時間も続いた。誰それがあの時にこんなおかしなことをした、とか、あいつはあんなアホなやつだ、とか、ま、とにかく暇なんで、おい、お前なんか面白い話ないのかよ、的な世間話だ。次々と他人をやり玉に挙げて笑いものにする、あまり感心した会話ではなかったけど、その丸いテーブルの笑いの中心がブロックだった。
この辺の世間話って、日本人も外人も変わらないんだなぁ、と思ったのもその時だし、そういう世間話の中にこそ、彼らの本音が良く出ていた。
カメラマンのブライアン・ビールマン、パット・オコーネル、ケリー・スレーター、ブロック・リトル、テリー・アフエもいたかもしれない。あと誰がいたかな……とにかくその時のブロックの話は涙が出ちゃうほどおかしかったし、今思い出しても笑える。それまでブロックと話をしたことはなかったけど、その時この人は本当に頭の回転が速くて、面白い人なんだな、と感心した。

ブロックはトッド・チェッサーと同じように、あのモーメンタム世代をハワイのビッグウエイブチャージに向かわせた先輩筋で、彼らはみな、ブロックやトッドの背中を見て育った。彼らのショックは計り知れないと思う。
こういうことが起きるたびに、今日できることは今日しなくてはならない、と心から思う。
明日はきっと来る、とかいうけど、明日がきっと来るとは限らない、というのが正しい。いつだって、起こりうることは、起きる。
その時のために、なるべく身軽で、何も残さない、プラスマイナスゼロの終焉を目指す今日この頃だけど、人間ってダメな生き物なので、なかなかうまくいかない。ついつい、あぁ、明日にしよう、と思ってしまう。

写真はそのフィジーでのブロック・リトル、後ろに乗っているのは水中カメラマンのマイク・プリケット。

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