ASPトップ、ブロディー・カー氏に聞く

ASPトップ、ブロディー・カー氏に聞く

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この数週間の出来事について教えていただけますか。いろんな方面から攻撃を受けてると思ったら、Jベイでのコンペが盛り上がりをみせ、その後はみんなトーンダウンしましたが……
リオのあとに(波やジャッジに関して)集中攻撃を受けたよ。ファンによっては、ちょっとした事柄やちょっとした争点に対してものすごく反応してくる人たちがいるんだよ。多くの人がフィジーとタヒチみたいなところを回れって言うんだけど、ツアーにはバランスが必要なんだ。メディアや集客のことだって考えなきゃいけない。いつも100%ウェブキャストだけに頼るわけにはいかないんだ。だから、主流メディアのチャンネルもしっかり確保していかなくてはならない。よって、今年は郊外にあるビーチブレイクみたいなロケーションを加えてみたんだよ。ただ、ボルコムとは3年ものあいだフィジーをどうするかで交渉を重ねてきたし、タイミング的にはバッチリだったと思う。振り子はピーチブレイクのほうに行き過ぎていたかもしれないけど、また中央の部分に戻ってきたってことだね。もう1か所、質のいい波のロケーションが必要なんだけど、もうじきそれも叶うと信じている。

ツアーにとって6週間の長いオフっていうのは害なんじゃないですかー
そうなんだよね。熱烈なるファンたちは、ジョーディ・スミスやエイドリアーノ・デ・スーザを長いこと見てなかったり、ミック・ファニングのサーフィンを見てないと、どうしちゃったのー って心配になってくるらしい。あの6月にあったオフは長すぎた。だからこそそこにフィジーを置く。波がいちばん期待できる時期でもあるしね。

タヒチ以降は、ツアーがどう展開していくかが楽しみなんだ。そこからは盛りだくさんの後半になっていくからね。4ヶ月間、連戦に次ぐ連戦が続くんだぜ。それに対してファンがどう反応するかも気になる。イベント期間中は会社の生産性が落ちるところがあるっていうぐらいだから、そこの雇用主はどう思ってるんだろうね。雇用主用にウェブキャストを見られないようにするアプリを開発したほうがよさそうだ(笑)。

先ほど、ボルコムのイベントを実現させるのに3年の歳月を費やしたとおっしゃいましたが、こういうのってどのようにして決まるんでしょうかー スポンサーがASPに話を持ちかけてくるのか、それとも、「ぜひともフィジーをスケジュールに加えたいので、だれかやりたいやつはー」って見込みのある会社に投げかけるのですかー
フィジーの件に関しては、ボルコムとASP、それに私という三者の間で長いあいだ話し合いがもたれてきた。時間がかかるときもあるのさ。ワールドツアー・イベントをやらないかってナイキとも長いこと調整していて、あと一歩で実現するところまでいったこともある。交渉はまだ続いてるから、近日中にそれが実現できればいいと思ってる。問題なくスムーズに事が進むこともあれば、話を詰めるのに時間がかかるものもあるんだよ。

戦略上、あの手この手をつかうこともある。一年に一度のSIMAサーフサミットっていう業界最大の会合に出席するにあたって、開催地であるメキシコのカボに向かう数日前にGランドをツアーに復活させることについてのリリースを出したんだ。そうすると各社がそのことに関して噂をはじめ、私が向こうに着くころにはすでに彼らは波質のいいロケーションにイベントを戻すことで頭がいっぱいになっているというわけさ。

3社から4社候補に挙げてた会社があるんだけど、そのひとつがボルコムだった。フィジーのことでね。よって、リチャード・ウールコットとふたりで頭をつき合わせて実現にこぎつけた。このあいだの買収のこともあるし、彼らにとってちょうどいい時期だったんじゃないかな。ドリームツアーにも、もう1か所いいロケーションが必要だったしね。お互いの考えてることを理解しあったら、あとは契約にこぎつけるのは簡単だった。

Gランドのリリースは、タイミング的にリオでのジャッジングに関する問題から注意をそらせるために出されたものだ、って言う人がいますが、それに件に関してはどうお考えですかー
(笑い)Gランドのリリースは、メキシコに向かって私が発つ数日前に出すってはじめから決まってたこと。ファンの観点からみたら、タイミングが非常にまずかったのかと思う。
ドリームツアーにふさわしくない波がリオには来てしまって、その時点で猛攻撃を受けることは覚悟していたさ。そのリオのイベントの直後にリリースを出すことになり、ちょうどみんなもっといい波を要求しはじめてたときだったし、我々だっていい波でやりたいんだから、その辺のことは理解している。しかし、リリースをだした理由は、残りのライセンスが少なくなってきているってことを企業のトップ陣に理解してもらい、今こそ重い腰をあげるべきだと促すのが狙いだった。

ライセンスは残りいくつあるのですかー
ワールドツアーイベントが12試合に、プライムイベントが12試合あるのが理想。そして、J-ベイを中間地点とした前半と後半で6試合ずつに均等に分かれているのが望ましい。

チョープーが5月に戻ることはあるのでしょうかー
それが再びできるようにビラボンと交渉してるところ。我々としては5月のほうがいいとおもってる。タヒチとフィジーのパシフィックレッグがあったころはよかったでしょ。ビラボンも移動させたい意向だし、そのほうが6試合・6試合といったバランスとれた配分にもどることだろう。今年のチョープーはシーズン最終の四半期にスケジュールされてるうえに、その6ヵ月後に開催というのはビラボンにとってかなりの出費となってしまう。それをやるにはみんながかなりの働きをみせなくてはムリだろう。ただ、双方ともやりたい意向なので、なんとか実現させたいとおもっている

フィジーに話を戻したいのですが、あのプレスリリースは絶妙のタイミングでしたね。
ウールコット氏とそのことに関しては大笑いだった。ケリー・スレーターがフィジーにいて、ちょうど波がバカでかかった。その時あそこでプレスリリースを出したかったんだけど、イベント開催中はそのイベントのサポートに我々は集中するっていう取り決めがあるので、Jベイが終わった翌日までフィジーのアナウンスは待ったんだ。

ケリーといえば、彼はあなたのために偵察ミッションをしにクラウドブレイクに行ってたんですか?
ケリーは巨大なスウェルが押し寄せるのを知って、乗りたくなっちゃったんだろうな。タバルアを運営するジョン・ローズマンと彼は旧知の仲だから、へたするとすでにあそこにいたのかもしれない。それでJベイに向かおうとしたが、ラウンド2は始まってしまい間に合わなかったというわけだ。

こういった場合どうなるんでしょうー 罰金ですかー
あぁ。ちゃんとこういう時のためにルールブックに記載されてる。学校みたいなものだよ。欠席したら、それなりの理由がないといかん。

学校にちゃんと通ったプロサーファーなんてあまりいないと思いますが(ケリーはもちろん例外)……。デーン・レイノルズはどうなんでしょうー 彼はどうしてたのかなー
デーンの怪我の経過については彼からの報告を待っている状況だ。カリフォルニアで彼のマネージャーとミーティングする予定だから、いったいどうなってるのか問いただしてくるつもりだよ。ほかにも何か理由があるみたいなんだけど、怪我は順調に治ってるといいんだがねぇ。

ボビー・マルチネスはツイッターを通して世界中に愚痴ってるようですが。あれは、どういうわけなんですー
そう、ロスで彼のマネージャーとも会う予定。悪ガキたちのマネージャーたち全員と今回は会合しなきゃならない。悪くとらないでくれよ、彼らはうちの選手たちなんだから、全員に成功してもらいたい。会って彼らが何を考えてるのか、どうしたいのか、そしてツアーに残りたいのか残りたくないのかをはっきりさせてくるんだ。

ツアーは強制じゃないんだ。もし彼らがツアーを辞めてフリーサーファーの道を歩みたいというなら、それは彼らの権利だから好きにすればいい。でも、デーンもケリーもボビーもツアーに残ってくれたほうがいいに決まってるだろ。

イベントのことに話をもどしたいのですが、究極の波でおこなわれる波重視のイベントの数と、大勢の集客が期待できる商業的なイベントの数のバランスはうまくいってるとお考えですかー
よくはなっていきているでしょう。まだやらなければならない課題は残っているが……。
サーチのサンフランシスコのイベントを、ただのビーチブレイクのイベントだと誤って認識している人が多いようだが、なぜだろうー アメージングなイベントになる潜在力を秘めたイベントなのに。ぜったいエピックなイベントになるはず。サーチは最高さ。今まで必ずエキゾチックな変わった場所に連れてってくれた。サンフランシスコは大都市だけど、これまでもみんなが行ったことある場所に行ってるじゃない……バリ、メキシコ、ポルトガルって。世界中のサーファーにワールドツアーが感動を与えるという意味ではとっても有意義なことだし、私は自信をもってバックアップしたい。それにリップカールはすでに来年はトロピカルな場所に行くって宣言してるんだよ。だから今年だけサンフランシスコでやったからって、なにがいけないっていうんだいー

ASPのトップであることを忘れて、一時だけ我々の同志になって考えてください。次にあなたがサーチに行ってもらいたい場所は、ズバリどこでしょうー
マカロニには、前から行きたいとおもっていたな。

ASPはメンタワイに行く可能性について検討したことは?
あるよ。それこそ次に発表されるリリースかもよ。「メンタワイに賛同する者はー」ってタイトルで。メンタワイは感動のべニューになりうる可能性を秘めている。プレイグラウンドとか想像してみて。あそこにはライフルズがあるでしょ、そして反対側にはノーカンドゥイとバンクヴォルツが。波はわんさかあるし、毎日ちがうポイントで開催ってことだってできる。メンタワイの問題は、インフラさ。ボートを確保し、インターネットを通し、母国にいるファンがウェブキャストを通して観戦できるようにインフラを整えないといけない。そこが難しいんだけど、もしそれがクリアできたら感動モンだよ。いくつかのパートナーと検討はしてるんだけど、いつかツアーにメンタワイを加えられたらいいなあ……。

Gランドとか最高だし、デザートポイントも考えた。でも、あまりにも隔離された場所なので実現されないんだ。レフトの波がいまひとつ欲しかったので、フィジーは考えるまでもなかった。チョープーとパイプがあるし、トラッスルズやフランス、ポルトガルのスーパーチューブスっていった所もレフトはあるけど、どちらかというとハイパフォーマンスなライトの波が今のツアーには多い。レフトの波が必要であるということは、多くの人が同意してくれるんじゃないかな。

今年は4つのイベントで4人の別々のウィナーが勝利していますが、この展開は予想外なんじゃないでしょうかー
リザルトをついさっきまで見ていたんだが、ケリーだって余裕で勝てる圏内にまだいる。それはトップ6が全員競っているってことだよ。こんなエキサイティングなことが他にあるー タヒチでケリーが勝ったら、どんな騒ぎになるか想像してごらん。ジョーディ・スミスはJベイで真剣勝負してたし、タジ・バロウもいい結果を揃えてる。彼らは1試合をドロップしていいわけだから、かなりの接戦ということだよ。後半戦に向けて全ての試合結果が重要になってくる。はじめてブラジリアンがタイトル争いをリードしたのも、ものすごくエキサイティングだったし、それにジョーディが猛烈な勢いでタイトル争いに加わってきたのも見てて興奮する。欲しくて欲しくてたまらないタイトルだから、今年も再びタイトルレースにからんできてるよね。オージーとアメリカ人の割合もちょうどいいし、新人の中にはすでに頭角を現してきた選手もいるから、ここへきてとっても面白くなってきたね。

ところでASPが世界反ドーピング機関(WADA)に認可される日は近いのでしょうかー それはあなたの掲げる目標の一つなんでしょうかー
そうですよ。手続き中なんだけど、おそろしく長いプロセスなんだな。順調に進んでいると、役員たちにはJベイで報告した。履行されるとはじめから100%じゃないといけないので、時間をかけて準備しているんだけど、WADAからの返答次第ってとこだね。WADAに承認されたドラッグポリシーを10年間使ってるけど、あとは向こうからの確認証を待つばかりってとこさ。

さて、すでにカリッサ・ムーアがウイメンズの新チャンピオンになりましたねぇ。
きたねぇ。ナイキの動画の凄かったこと! カリッサは親善大使としても最適だし、すでにイベントを増やす話などを我々に持ちかけてくれた。ステファニー・ギルモアもそうだった。少女たちにとって模範になる選手たちだよ。スポンサーのミーティングにも嫌がらずに出席してくれるし、なにかと手を差し伸べてくれるのはありがたいかぎり。歳を考えたら、カリッサはものすごくクールないい子だよ。

メンズよりもウイメンズのほうがナイキの影響力を受けているように見受けられますが。
そうだね。ナイキの映画リーブ・ア・メッセージはとってもよかったし、力を入れてるね。メンズのほうでは、トップの選手たちがすでに他企業と契約をがっちり交わしてるから、新規参入は難しいんだろうな。でも素晴らしいメンズのイベントを成功させてるから、これからはウイメンズ側でも同じことをしてくれるといいんだが。彼らともロスで会う予定さ。

カリッサはメンズのイベントで10ptを叩き出してるのを忘れないでくださいね。
そうだよ、わかってるよ! 彼女はとんでもない才能をもった選手。こうなったらカリッサがナイキを説得してウイメンズのイベントをやってもらうしかないね。来年のウイメンズのツアーはいい感じに形になってきた。新しいイベントを計画してるし、これらが順調にいけば最強のプログラムになりそうだよ。

ではご出張、楽しんできてくださいね。幸運を祈ってます。
ありがとう。さあ、出発だ。

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