フィジーからのディープレポート1

フィジーからのディープレポート1

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ボルコムフィジープロ、コンテストピリオド初日の朝、まだ暗いうちにヘッドジャッジのリッチー・ポータ、コンテストディレクターのマット・ウイルソン、それに現在のタイトルレースのポイントリーダー、ジョエル・パーキンソンを乗せたボートが、ナモツ島からクラウドブレイクに向けて走り出した。
ボートがポイントに着くと、そこには8フィートレンジのセットがやってきたところだった。
KP(キーラン・ペロウのニックネーム。選手会長で、いつもは彼がこの朝の波チェックに参加する)はどこー とリッチーが聞くと、パーコが、あそこでオバケセットをゲットしてるよ、といった。
なるほど、で、このコンディションどう思うー とリッチー。
やろうぜ、とパーコが答えた。

18ヶ月に及ぶ準備期間のあと、たった30秒足らずでボルコムフィジープロのスタートは決断された。
その後のビッグスウェルの予報を考慮すると、そんなに早くスタートしなくてもいいんじゃないか、という感じではあったけど、目の前で6-8フィートの波がブレイクしていたら、どんなコンテストディレクターでも迷うことなくゴーサインを出す。
それより何より、まだ暗いうちからキーランがラインナップでサーフしてるんだから、どうしようもない。

この試合最初のバレルをメイクしたのは、ジョーディ・スミスだった。
8フィートのバレルをクリーンに抜けて9ポイントライド。まずは優勝に向けてラウンドワンを抜け出した。

フィジーといえばホブグッド兄弟というぐらいにここでのパフォーマンスに定評のあるふたり。ラスティ時代から長いことここで経験を積んでいる。
最初に登場したのはCJ。インサイドのディープなバレルを抜けてクレイム。チャンネルのボートから見たらそれはハイエイトから9ポイントといった感じのライディングだったけど、スコアは7.33。
あとでCJに聞いてみたところ、彼ももう少し出ると思ったそうだ。ここで長いことサーフしてるし、どの波がポイントになるかはよくわかってるつもり。でもたぶんあれがヒートの最初のライディングだったから、押さえられちゃったんじゃないかな。でも勝ったからそれはどうでもいいよ。
ちなみに彼のこの波は、沖に向かってパドルバックしている途中でつかんだ波。それを聞くと、インサイドでそれ食らうより乗ったほうがいいじゃん、と笑った。

ダミアンはテイラー・ノックス相手に厳しい戦い。ヒート終盤テイラーはわずか3ポイントライドが必要だっただけ。ピッタリ張り付いて、何とかテイラーを乗らせずに1位通過を果たした。
マーシャルボートに戻ったテイラーは、ああいうハッスルは嫌いじゃないよ、と笑っていた。

ブラジルをスキップしたケリーはシーディングが2位になり、フィジーのワイルドカード、フィジアンスレーターの呼び声高い、イセイ・トコヴーと当たったのはトップシードのパーコのほう。2位のケリーはボルコムのワイルドカード、オージーのミッチ・コールボーンと当たり、ミッチがとんでもないバレルを抜けて、ケリーはラウンド1を取りこぼした。
前日のオープニングカヴァセレモニーを、体調不良(食あたりかー)で欠席したケリー。ジョンジョンも同じような症状だったけど、こちらは快調にラウンドワンを1位通過した。
後で話をしたところ、ケリーはその日のコールがいまひとつ納得できないようだった。波数が少なく、コンスタントにセットが入らないのが理由だが、6-8フィートのクラウドブレイクなら、いつだってコンテストはオンになる。

ファニングも調子良かった。
数日前にフィジー入りして、エース(エイドリアン・バッカン)と一緒にフリーサーフしてたんだ、とミック。同じヒートになるのはわかっていたようだが、それがなかなか厳しいヒートになった。
トリッキーなヒートだったよね。エースは1本しか乗れてなかったし、ウイルコ(マット・ウイルキンソン)も2本だけ。自分は2本いいのに乗れてラッキーだったよ、と上機嫌。

ジェレミー・フローレスは、20点満点を出したチョープー、優勝したパイプに続き、ここでもチューブマスターの名を広めつつある。
この日のベストウエイブを完璧にメイクし9.87をたたき出した。

最後になったけど、パーコのことを語らないで、初日のレポートを終わるわけにはいかない。
みんなけっこう苦しんだ末にヒートをメイクしていったのに、パーコだけは、チャンネルで見ていた選手たちにオォ~、とかアァ~とかため息交じりの歓声を上げさせていた。お得意のリラックススタイルのまま、バレルに吸い込まれていったパーコ。う~ん、あれはグーフィーに有利なフィジーだけど、バックハンドでも優勝争いに絡んできそうな感じの出来だったな。
photos and text by joli

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