ガブ、ケリー、ミックあたりの上位ワールドタイトルコンテンダー組はおいといて、今回なんかけっこういいじゃん、と思うのはオウエン・ライト。
故障で一線から離れていて帰ってきたときには、なんだかいない間にサーフィンもジャッジクライテリアもグッとカービング方向に振れてしまった上に、ツアーのレベルも格段にアップしてしまっていた。あのニューヨークのイベントあたりでケリーと年間の勝ちを2分していた当時のオウエンのサーフィンは、何となく古い感じというか、もうそれじゃないよね、時代は……という感じだった。たった1年離れると、こんなになっちゃうんだ、みたいなここ数年のサーフィンの変化も驚きだった。継続してずっと見ていると、変わってるな、変わってるな、と思っていても、誰も止まってないので、その変化を明確に判断するのが難しい。しかし、過去からやってきたようなサーフィンを並べてみると、その違いは歴然だった。
しかし、今回のオウエンはだいぶ違うと思う。
自分のサーフィンと、今のツアーのスタンダードの違いを徹底的に分析して、その差を詰めてきたと思う。ビフォーマイケル・チャンとアフターマイケル・チャンの錦織ぐらい違う。
もっとも大きな変化は、彼のサーフィンのフロー、流れ、技と技のつなぎの部分だ。あくまでスムーズで、止まらないように努力しているのが見える。
もともと体の大きい選手で、ひとつひとつの技は派手なのだが、どっちかというとカービングというより振り回し系だったので、板を返した後に止まるのが目についていた。今回はそこ、直ってると思う。板を返した後のレールの切替が今までより早いので、次のターンにスムーズにスピードをつなげていけている。相当練習したんだと思う。ま、WCT選手になっても猛練習の日々なわけだから、日本人からWCT選手が出ないってのは、そんなに不思議なことじゃないかな。やみくもにサーフィンすればうまくなる、ってわけじゃないし。