新ツアーについてケリーに聞く

新ツアーについてケリーに聞く

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まもなく最終戦のハワイ。タイトルはケリーのV10だが、来年からの新しいシステムへの最終章がパイプだ。現状の32人から22人にクオリファイが絞られ、10人はワールドランキングから選ばれる。

どうなるにせよ、45人から32人に選手の数をカットすることに関して、選手全員がなにかしら意見をもっているはずだ。1992年から20年近くの長い間、ずっとトップ45でやってきたのだから、それも無理のないこと。彼らのキャリアに直接影響することでもあるし、なにしろ生活がかかっている。

1992年にツアーをまわりはじめ、ワールドタイトルを次から次へと総ナメにしていった10Xワールドチャンプに、この新しいシステムに関する意見を聞いてみた。

Q:ワールドチャンピオンのあなたには、ツアーに残れるかどうかはあまり関係ないことだろうから、今回の変更がWTに残った選手たちの全体的なレベルアップにどう関係してくるかを聞かせてくれるー もの凄いサーフィンをするのに、WTに参加できてない素晴らしいサーファーが今でもいっぱいいるというのに、またさらに16人減らすというわけで、この件に関しては色々な意見があるけど。

KS:僕の意見は昔から変わってない。今のツアーは選手の数が多すぎると思うんだ。最高のサーフィンが見られるのはクオーターファイナルから先。そこからトップの選手のすごい技を見られるようになる。
セカンドラウンドってコンテストを長引かせるためにあるんじゃないかって疑問に思うときがあるぐらいだ。ツアーを今回ってない、クオリファイすればいいと思う選手が大勢いるけど、この変更は彼らのWTへの門をさらに狭めることになるだろうし、今までいたいい選手を失う結果になるんだと思う。
でもさ、今出来ることは……言葉で表すのは難しいね。かなり深い問題だから。

今シーズンのルーキーたちのように、WTに慣れるのにちょっと時間がかかってる選手なんかは特にね。ルーキーにとっては、さぁこれからが見せ場だって思ってたんだろうけど、中盤のカットでトップ32に生き残るためにサーフィンをし、年末にはトップ22に残れるように、サーフィンしないといけない。彼らにとってこのシステム変更はかなりのストレスになったことは確かだね。

Q:これまでもトップ16、もしくはトップ20以内にいなければ安心できなかったのに、これからはもっとシビアになるってことだね。

KS:そう。でも、そうなんだけどさ、今シーズンなら各コンテストで1回だけでいいからヒートに勝てば、おそらく落ちることはないんだ。逆に言えば、1年間、各コンテストで1度もヒートアップできないってことは、どういうことよー

Q:ツアーにいる資格がないー

KS:さあ、いる資格がないかどうかは判らないけど、なにかがベストパフォームを邪魔してるんだと思うよ。これからのツアーでは、全員がコンテストで数ヒート勝てるだけの能力を持ってなきゃならないんだ。そういうレベルだし、そういうシビアな世界なんだよ。

ダスティ・ペインとかネイト・ヨーマンズ、それにガダスカス兄弟みたいないい選手たちに注目してきたけど、彼らルーキーはハイシードの強豪とばかり当たるようになってるんだ。当たり前のことだけど、ルーキーにとってはそこが試されてる部分なんだと思う。それが彼らに課せられたハードルなわけだ。それがフェアかどうかは自分にはわからない。でも、それ以外にいい手段が見つからない、ってのが正直なところだね。

難しいところだけど、最終的にはイベントを短縮させて3日間で終われるようにして、その上全員が十二分にサーフィンする時間がとれるようにするには、人数を減らす以外の方法は思い浮かばないよ。微妙な問題だと思うけどね。

仲間たちとお別れになるだろうし、ツアーに残るべきと思われる選手が振り落とされることになるかもしれない。でも、スウェルが続かなかったりした場合に僕らが強要される波のコンディションを考えると、やはり今のツアーは人数が多すぎると思う。

どれをとっても簡単な問題じゃない。でも、4人に1人がツアーを去ることはもう決まったんだ。
苦手な相手と当たることもある。波のよくないポイントでサーフさせられるときもある。ケガや精神的な面で戦う状態じゃないときだってある。相性の悪いポイントもある。
例えばコンテスト会場の波はライトが多いのはグーフィーの選手にとって不公平かもしれない。スナッパーとかはバックサイドのサーファーにとって難関だろうし、ベルズもそう。
ブラジルはどっちだろうー ブラジルの波は誰とも相性がよくないな。なにしろ難しい波だ。

まぁさ、そういうことだって考えだしたらキリが無いんだ。誰もツアーとお別れするのを見たくはないよ。でも、人数が多すぎるってのも事実なんだ。プロサーフィンはASPの商品。喜ばれる商品を提供するには、それをもっとも公平な姿で展示しなきゃならないんだよ。その方法として全員を納得させるような答えを持ってる人なんて、誰もいないさ。

Q:これは初期の実験段階ということー 80年代だか90年代からASPはやたらフォーマットを変えてるよね。

KS:まあ、僕がツアーをまわりだした91年か92年ごろからだね。ツアーに入った初年度は、3人制が使われてた。3人ヒートを3回やってそのなかからトップ16を選び、クオーターのまえのラウンドにいく不思議なやつだった。たった2試合で廃止になったけどね。基本的にはじめの2ヒートのどっちかを落としてしまったら、16人の枠に入ることは不可能というものだったからね。それって下位の選手たちに絶対不公平でしょ。今はアイデアを交換しあって最適なシステムを選ぼうとしてる段階だね。

Q:でも、人数は減らし、日数を増やし、究極のサーフィンを見せようってことで話はまとまってるんでしょー

KS:過去の例を振り返ってみても、それがベストな方法なんだよ。
チョープーとかでも2年だか3年だか最悪なイベントが続いた。もし、もう半日試合を消化するために必要な日数が少なければ、全員にいい波が行き渡ってたはずなんだ。
その余分な半日分をカットしたかったわけ。人を減らすということよりも、イベントの消化可能日数を減らす問題ってこと。

もしデュアルヒートを使えるなら、全てのイベントから半日をカットすることができるようになるんだよ。へたすると1日ちょいカットできるかもしれない。でも、選手がうんと言わないんだ。デュアルだと、他のヒートの選手が、やろうとおもえば邪魔をする事だって可能だからね。まだ問題があるんだ。まったく勝てない選手が、どうせ負けるんならって他のヒートの選手の邪魔をし始めたりしたら、それをどうジャッジするー それをどうやってフェアになるようにするー そう考えると難しいんだ。みんなで意見を出し合った結果をもとに、最適だと思う方法を見つけるしかないんだよ。

ワイルドカードにはどう影響するー
ワイルドカードの数はこれまでと一緒。4人だ。32人に4人が加わる。ワイルドカードにとってはやりやすくなるかもしれないな。ワイルドカードの選手に対してWT選手の数が減ったんだから。

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