写真 WSL・ROWLAND
超早朝、ハワイの友人から電話があって、大原洋人の優勝を知った。
おめでとう。
ま、さまざまな条件がいいほうに向いた、ということだと思う。
日本人がQS10000、ようはプライムで優勝する、という日がこんなに早く来るとは思っていなかったけど、ヒートアナライザーを見てみれば、うん、これは勝てるチャンスのあった試合だよね、と思った。
現時点で大原洋人のできるサーフィンがあの波でできれば、優勝できる条件はそろっていたと思う。
そういうチャンスというのはそんなにたくさん来るものでもないけど、そのチャンスを逃さず優勝したことには敬意を表したいし、大原洋人というコンペティターのコンペティターとしての資質は認めざるを得ないと思う。
では、この結果のように、大原洋人のサーフィンがQS10000で優勝するレベルのサーフィンなのか? と問われれは、う~ん、それは~……みたいなことに正直なところはなってしまう。
あのハンティントンのクソ波で、幻のセットをつかんで9点で逆転勝利。
現時点での大原洋人のサーフィンであの大舞台で優勝するとすれば、あの条件しかないと思う。もちろんそれはほかの日本人選手も同じだけど。
幻のセットのあるクソ波、という条件は、どんなことでも起こりうる、というチャンスでもあるのだ。そのチャンスを生かすのも才能のうちではあるけど、チャンスはそうたくさんこないように世の中はなっている。
ちょうど週末、志田でプロジュニアが行われていたけど、こちらもクソ波。HBの半分以下という悲しい波ではあったけど、同じように番狂わせはたくさん起きた。
ま、こういうことを書くと、またユキさん、そんな文句言わなくても、とか、水差さなくても、とかいう人が出てくると思うけど、このニュースをどう分析し、どう理解し、どう扱うかにこの先の日本のシーンがかかってるわけで、出来れば、今までのように過剰反応とか、盛って盛って持ち上げるとか、大原洋人CTに一直線とか、そういう過剰なポジティブはやめてほしい。その「盛り」で、いままでどれだけの優秀なサーファーが消えて行ってしまったか。
このラッキーな1勝を生かして、もうひとつQS10000に勝てればクオリファイは確定する。昨年140番ぐらいから終盤2勝でクオリファイしたダスティ・ペインがそれは証明している。ゴールはそこだと私は思う(洋人に聞いてないからわからんけど)ので、これは通過点であるに過ぎない。喜びに浸るのは、次の試合までだ。現時点でのランキング13位を、後半どこまで維持するかだ。
団体の取組とか、ジュニア育成の成果だとか、自分がかかわったとか、周囲の人間にライトを当てたり、出てきてライトを当てられたがる人間の雑音がすでに聞こえそうだけど、こういう試合の結果というのは、本人個人のものであって、周囲のものではない。彼の努力へのご褒美でしかない。やったのは洋人だ。
感謝するべき人には、洋人自身が評価し、感謝すればいい。あ、無条件に親御さんには最大の感謝をしなさい→命令。
出来ればみなさん、あくまで冷静に、洋人が現実に今いるステージより上に彼を持ちあげないでもらいたい、と切に願う。
私が今望むのは、この洋人の優勝で、ほかの日本人選手たちにとってのQS10000優勝が夢物語ではなく、現実になっていくことだ。
洋人にできるなら、俺にもできる……レベルは違うけど、ブラジルのガブちゃん効果が日本人選手の間にも波及してくれれば、と願う。
洋人には、クールにあとひとつ、と考えてもらいたい。