ガブリエル・メディーナ、サーフィン虎の穴開設

ガブリエル・メディーナ、サーフィン虎の穴開設

0
シェア

サーフィンというスポーツもいよいよここまで来たか、という感が強いニュースが飛び込んできた。
ガブリエル・メディーナが、自身がサーフィンを始めた思い出のポイントのビーチフロントに、エキスパートサーファー養成所を開設したのだ。
建設費用はすべて彼のポケットマネー。ま、伊達直人が子供たちに寄付するような感じ?
古くて話がわからん人はグーグル先生に、タイガーマスクってなに? って聞いてください(笑)。タイガーマスクを生んだ虎の穴は悪役レスラーの養成機関だったわけだけど、ま、ここで得た技術を持って、孤児から正義派のヒーローになるんです。

ガブの養成所は、タイガーマスクが地獄のトレーニングでテクニックを習得したように、才能のある10歳から16歳の子供を集めて、ガブリエルがやってきた方法を伝授して、サーフィンエキスパートを養成しようというコンセプト。技術面ばかりでなく、体力面、メンタル面、語学の勉強も、救急措置も、道徳的なことも、ありとあらゆることを教えてくれるスーパーサーフィンスクールなのだ。そこで2月1日に38人のエリート候補生が歩み出した。

彼の両親、チャーリーとシモーヌはガブが若いころ、ガブのサーフィン上達のために、ありとあらゆる努力と投資を惜しまなかった。その結果がブラジル初のワールドチャンピオンにつながったのだ。そして今なお、すべての試合に付き添い、フリーサーフィンもヒートも残さずビデオに収めるパパ、チャーリーの姿は、すでにツアーの風景の一部。その彼らファミリーが歩んできた道、運命を切り開く方法を惜しみなく後進に伝えるための施設でもある。

プロスポーツ選手として成功した後に、慈善事業や寄付と言った社会の成功者としての活動や、自身が愛したスポーツへの恩返し的な行為はよく見られる。しかし、養成所を作るというのはサーフィン界では初めてのことだし、相当メジャーなスポーツでないと聞かない話だ。コンセプト的にもコスト的にも、サーフィンもいよいよここまで来たか、と思ったのがそこだし、またそれは管理育成されたアスリートだからこそなのだと思う。

サーフィンというのは感覚のスポーツという側面もあり、例えばケリーがケリーのやってきたことを子供達にやらせたところで、子供たちはケリーにはならないだろうと思う。ケリーの時代のやり方はもっと感覚的なものだった。しかし現代サーファーは、そのトレーニングメソッドが確立されていて、コーチを受け、トレーニングを受け、の結果なので、そのメソッドは具体化されて後進に伝わるわけだ。

わかりやすく言えば、あんな感じ、こんな感じ、ではなく、あと腕を10センチ後ろに動かして、肘の角度は45度……みたいな(笑)。
あんな感じは伝えられないけど、あと10センチは確実に後世に伝わる。

ま、なんにしてもガブリエル・メディーナという選手が、ワールドチャンピオンにふさわしい品格と思慮と行動を身に着け、その体現をした、というのがこのニュースの本質だ。あの若さで、すごいな、と思う。

コメントなし

返事を書く