4star billabong pro tsurigasaki

4star billabong pro tsurigasaki

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photos by snowy / text by yuki

日本国内で行われるASPの スターイベントとしては、最大規模の4スター、ビラボン釣が崎プロ。今シーズンはWTやプライムイベントが行われない日本としては、海外のASPを回る選手のサーフィンを実際に目人することが出来る唯一のチャンスだ。
そのチャンスに台風12号が直撃。選手と運営大変、ギャラリー興奮のイベントになった。

今年の夏は、死にそうに暑いだけで、台風が少なかったように思う。ま、私は台風のスウェルを追いかけて、日本国中を走り回る、というタイプの人ではないので、関係ないっちゃ関係ないんだけど、それでも、台風でどこそこの河口がよかったらしいとか、マリブだったとか、なんかそういう、サーファーっぽいウワサは耳にしてしまう。
でもそんな話を今年の夏はまったく聞かなかった。
で、台風の波としては今シーズン初めてじゃないのー みたいな波に当たったのがビラボンプロ釣が崎だ。
4スターで国内最大のASPイベントってのも、なんかちょっと悲しいものはあるけど、ないよりはぜんぜんいい。
序盤は、サイズの上がる前の小ぶりのチョッピーコンディション。波運が大きく左右する中での戦いになった。波が見える見えないというより、乗った波がいいか悪いか、後づけ判断みたいな。ショルダー探すの超大変。そんな中では器用な選手が勝ちあがっていく。最後までそういう波だったら、ファイナルデーのメンバーもだいぶ違っていたんだろうなと思う。
その後は台風の接近とともに雨、風、波の大盤振る舞い。
私も一瞬会場の釣が崎(志田下) に行ったけど、その一瞬で雨と砂でグシャグシャになって、すごすごと帰宅した。もう写真とか取材とか、そういう話じゃなく、それでなくてもパーフェクトなトラッスルズから帰ってきたばかりのお嬢様には、あの荒々しい大会会場は無理ですな。
よって、天気予報とにらめっこ。取材は最終日にかける青春、ということになった。
コンテストのほうも、台風が最も接近する最終日前日は、荒天のため終日キャンセル。みんなこの台風のスウェルを狙ってあちこち動いたようだけど、このオフの日にはまだ台風ポイントは本格的なサイズにはならなかったようだ。
で、待ちに待ったファイナルデー。
とにかく、この日にかける青春なので、朝6時過ぎには会場の釣が崎へ。しかし、釣が先があまりにも荒れていて、まだ一宮のほうがコンディションがよさそうだということで、会場は一宮海岸に移動になったという。
一宮海岸に行ってみると、ポツポツ選手たちも集まってきていて、荒れるだけ荒れた海を前にボーゼンといった感じ。
目の前の突堤沿いにパドルを始めた選手が、あっという間にヒューっと右に流されていくのを見て、もうみんなが乗ってはビーチを走り、突堤脇からパドルし、また乗る、みたいに大きな三角形をぐるぐる走りまわる姿が目に浮かぶようなコンディション。
田嶋鉄平や田中英義あたりの千葉勢も、体力勝負ですよね、と笑っていた。
ホント、体力勝負というか経験勝負。
こういうコンディションになったときには、器用なだけの選手はまったく歯が立たない。
そういう傾向が顕著だなぁ、と思ったのは近頃何かと話題に上がっている(らしい) 若手選手たち。ジュニアグループ、あるいはそのちょっと下なのかな。
はっきり言ってお話にならなかった。波に完敗な感じ。出て行くのがやっとで、自分のサーフィンどころか、サーフィンそのものも出来てなかったし。
ハードコンディションでみんなが出ていけなくて、出て行ったモノ勝ちというなら、まだいいけど、ちゃんと出て行ってハイポイントを出している選手のいる中でのそれだから、そのサーフィンのレベルの差をまざまざと見ちゃった感じだった。同じプロなのに、それでお金もらっててもいいのー と私は思うよ。ま、払う人も悪いけど、年齢に関係なく、プロとしてお金をもらうなら、あのコンディションについていけるぐらいの実力は持ってて欲しいし、その努力をして欲しい。乗りやすい、いい波だけ練習してもダメ。言い訳無用。ギャラリーにはみんな見えてただろうし。
で、こうなるとやはり強いのは日本勢でもベテラングループ、あるいはオージー勢。荒れた海の中でも何とかフェイスのある波を探して、迫力のあるリップを見せてくれた。
小川幸男、中村昭太、辻裕次郎、田嶋鉄兵、田中英義、小川直久のクオーターに残っていた日本人選手たちは評価したい。
中でも印象に残ったのは辻裕次郎。
国内の試合はチャンスがあれば見ようとは思っているけど、結局1試合とか2試合とかしか見られないので、1年に1度の定期健診、みたいなことになる。
一年ぶりに見て、うまくなっててくれないと困るわけだけど、なかには、下手になっている選手もいるし、一年たっても何も変わらない選手もいる。その中で裕次郎は昨年とは明らかに変わっていた。
今シーズンJPSAでも最後までグランドチャンピオン争いをしていたようで(結果的には大沢伸幸がグラチャン) 、裕次郎がグラチャンって、もう世も末だなぁ(笑)、と思っていたんだけど、この試合を見てようやくその理由がわかった。サーフィンそのものがどうこうというより、試合がうまくなった。これは明らかな進歩だ。裕次郎のウイークポイントは、メンタル面の弱さというか、勝ちに対する執着心のなさだったんだけど、そのへんだいぶ成長したと思う。
特に負けはしたもののセミファイナル。前半ケチョンケチョンにやられていて、昨年までの裕次郎ならそのまま壊れてゲームオーバー。しかし、このセミでは後半いいライディング2本見せ、巻き返した。ま、スイッチが入るのが遅すぎて逆転にはいたらなかったが、この負け方は相当次につながる負け方だと思う。同じ負けるなら、こういう負け方をしなくてはいけない。メンタル面は克服したので、次のステップは更なるサーフィンのテクニックの向上だな。裕次郎、先は長いよー。
サーフィン的に圧巻で、ひとり違っていたのが、2位のドリュー・コートニー。それもそのはず、ついこの間のカットまで、今シーズンのWTにいた選手だ。WTの中に入ればそんなに目立つ選手ではないけど、この4スターの中に入れるとサーフィンそのもの、ターンそのものが別世界だった。ターンのクオリティでジャッジするなら、優勝ドリューでもよかったんじゃないかな。ま、バックアップライドが足りなかったのは事実だけど。
優勝したデイビー・キャセルスはこういう波が好きなんだろうな、と思う。なんか、ちょっとサーフィン軽い感じだけど、セクション見つけるのうまかったし、この大会唯一の10点満点も彼が出している。クオーターでのロングチューブのワンマニューバー。ま、ワンマニューバーで10点というほどヤバいバレルとも思えなかったけど、あのコンディションの中であのバレルを見つけたことに10点なんだろうな。
まだ若い選手で、日本人選手の同年代と比較すると、世界との距離をまざまざと感じてしまった。でも、それを感じるためにも、こういう世界レベルのイベントは必要なんだと思う。その差を思い知って、努力することが大事だ。
日本人最高位の4位になった田中英義。ま、淡々と自分のペースで自分のサーフィンが出来たことが強さだったと思う。JPSAからスペシャルプライズをもらった。
うーん、もう少しうれしそうにして欲しかったな。何百人のうちの4人に残ったんだからさ、しかも日本人で一番上だし。もちろんファイナルで4位ということは、そのヒートのビリだけど、その悔しさは家に帰ってから悔しがって、表彰式ではファンやスポンサーに笑顔でサービスだよ、プロなんだから。
あのね、何度も言うけど、スポンサーがコンテストを開いてくれるから、あなたたちが戦えるんであって、まずはスポンサーや運営サイド、地元の協力に感謝の意を述べなさいよ。しかも自分のスポンサーじゃん。自分の悔しかったこととか、ダメだったことなんて、表彰式ではどうでもいいんだよ。ほんと、この辺のプロ意識って日本人に足りないと思う。プロ意識のレベルが低すぎて、毎回イライラする。”

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