2011シーズン、ケリー優勝スタート

2011シーズン、ケリー優勝スタート

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昨年、10度目のタイトルを決めたケリーの優勝でスタートした今シーズンのワールドタイトルツアー。おじさんは11に向けてまたとない最高の発進ですな。

そうねぇ、「サーフィンがすごかったなぁ」、って印象に残ってるのはタジ。
でも、1試合を通じていろんな面で「うまかったなぁ」ってのはケリーだったな。

タジはとにかく今回すごく安定してたし、追いつめられても確実に自分のベストのサーフィンを各ヒートで出して勝ち上がっていた。

昨年までなら、いい感じできててもあるときいきなり、あれれ、タジどうしちゃったのー みたいなラウンドがあってアウトになるんだけど、今回はそうかと思わせても最後には帳尻を合わせてきた。

特に、かなりハイレベルの競り合いになったラウンド5のエイドリアーノ・デ・スーザとのデッドヒートは、9点台2本ずつの争い。しかもタジはビハインドからの逆転。テール抜け切りの無茶とも思える豪快なリップの組み立てで9.63出してもまだ9.34必要で、ま、普段ならそこで集中切れちゃう感じなんだけど、このときにはそのあと再び9.43を出して逆転勝ち。負けたスーザも当然悔しいけど、しょうがないなぁ、って感じだったと思う。なんか、今回のタジはそういう精神面での強さが目立った。

ただ、分析してみれば今回のタジはそれだけ。ファーストターンの無茶なテール抜きアタック。それメインのライディングで勝ち続けた。ベスト2は2本ともそういう組み立て。それはファイナルも同じ。

セットの波のファーストターンでハードアタック。その後もリップベースの組み立て。ま、それがものすごかったから9点台続出だったんだけど、しいて2位という敗因(ー)を述べるなら、それだけだったから……じゃないかなと思う。

対するケリーは決して絶好調という感じではなく、なんかちぐはぐなラウンドもあり、危なっかしい感じだった。ただ、それをなんとか、かんとか、いろんなことをしてジャッジにポイントを出させていた感じが印象に残る。

例えばベスト2の1本目がリップ、スナップ系統でのエクセレントレンジのポイントだったら、次の波では徹底的にチューブ狙いというように、同じ組み立てのライディングを続けることがなかった。これはタジと対照的だったと思う。どのラウンドでもケリーのベスト2を思い返すと、ひとつはリップ系、もうひとつはチューブ系、あるいはエアー系で、同じ組み立てのライディングを2本というのがなかったように思う。その辺が、うまかったなぁ、と舌をまくあたり。

試合というのはラウンド1からファイナルまで、全体のトータルで考えなくてはならない。そうやって全体に目を向けると。この試合はケリーのいやらしいぐらいの試合のうまさが目立った。それは相手選手の駆け引き、タクティクスもさることながら、試合全体、ヒート全体、1本のライディング全体のデザイン、構成の部分でのうまさ。

タジ、すごかった。そうなんだけど、思い浮かぶのは同じファーストリップ。

ケリー、すごかった。それで思い浮かぶのは、リップ、高さのあるエアー、ロングチューブ……。

結局そのオールラウンドなバラエティを持たせたヒート、ライディングのデザイン、構成がすごい、と玄人的には思う。そう言う意味での、ケリーうまかった、である。

WTたるもの、テールを抜くだけでは勝てない。そんなことはタジだって百も承知だ。だから、フルレールのカーヴィングとかも構成に入れてくる。そしてインサイドのエアー。でも、そのデザイン構成を1本ごとに意識的に変えてくることはなかった。

ベスト2の2本のライディングのデザイン構成を変える、ということをしていたのはケリーだけだったと思う。

WTのトップグループになれば実力に差はほとんどない。じゃ、どこで勝ち負けというか、見栄えが変わるか、というのがその辺なんだろうな、と思う。そうなると、ベテランでオールラウンダーなケリーって、有利だなと思う。

そして、年間でツアーを考えるとき、この若手に圧倒的に有利なアクション勝負のビーチブレイクでベテランのケリーが優勝した、ということは大きい。タヒチ、Jベイ、パイプなどのチューブ勝負になるクラシックブレイクはケリーに有利で、そこでの勝ちが読めるから。

そういういろんな要素を考えると、この優勝で39歳のおじさんの11は十分にありえることになった。ま、本人がやる気なら、という但し書きつきだけど。

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