Billabong Pipe Masters in Memory of Andy Irons /all photos by Joli

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2010年のビラボンプロパイプマスターズ・イン・メモリー・オブ・アンディ・アイアンズは、早いラウンドから間違いなくケリーの勝ちだとほとんどの人が思っていたが、そのケリーを最後の最後に逆転してセミファイナルでストップした、ジェレミー・フローレスが優勝。ヨーロッパ勢では初のパイプマスターになった。
残り4分ぐらいでケリーにプライオリティを握られたジェレミーは、その逆転の波が来たとき、アンディのことが心をよぎったという。

本当にアンディが彼に味方していたかのように、その後のファイナルでも最後の最後に逆転。セミもファイナルも、ベストなタイミングでミラクルな波がジェレミーのところに入ってきた。
でも、勝因は波ではなく、その来たチャンスの波で、ジェレミーが全くミスをしなかったことだと私は思う。ノーミス。アンラッキーもナシ。普通ならどんないい波が来て、完全にメイクできるような場合でも、チューブ勝負になるとちょっとしたコブにつかまったり、引っかかったりというアンラッキーがありがちだ。でもそれすらなかった。すべてジェレミーの思うとおり、というか、理想的な展開。落とし穴ナシ。
それはしつこすぎるでしょ、というぐらいしつこくストールしてても、ギリギリのところで抜けてきた。なんか、波運というより、そのノーミス、ノーアンラッキーのあたりに、アンディなのか、神様なのかがついていたのかもしれない。

ケリー。
間違いなく優勝候補の筆頭だった。明らかにひとりだけ違うチャージ。最も違うのはそのスピードだ。同じ10メートルのチューブを抜けるのでも、移動する早さが違うというか、かかる時間が違うというか、つまり、他の選手が乗っている波よりケリーの乗っている波のほうがずっとダンパーに近い。そのスピードの差は肉眼でわかるぐらいだ。いや、肉眼でなければわからないのかもしれない。なぜなら、そのスピードの差にポイントの差が出ていなかったから。

今ジャッジは肉眼でも見るけど、確認のためにリプレイを見て判断する。もしかしたらビデオで見るとその差がわかりにくいのかもしれない。だって、そうやってディテールを見るとなると、スピードよりはチューブの深さや長さ、出方のクリーンさとか、そっちに目がいってしまうから、全体像であるスピードには注意が向きにくいんじゃないかと思う。ただ、肉眼で見ているとダイレクトに、うわっ、早いし、って印象だけが焼きつくんだよな。

ケリーはこの日のセミで、最初にジェレミーに波を乗らせたのが自分のミスだった(ジェレミーはそれで9.57を出してリードする)と分析しているけど、しいて言えばそうなのかもしれない。最後、自分がプライオリティを握りながらジェレミーに乗らせた波は、何をどうひっくり返したところで、6点台。まだ時間はあったから、そこで自分がその波に手を出してジェレミーにプライオリティを渡すような事は出来なかったと思う。そのほうが危険。結果的にその波で7.67必要なところを8点近く出して逆転してしまうのだけど、あれはミスとはいえないと思う。間違いなく乗らせてもいいカス波だったから、それをダイヤモンドに変えたジェレミーの執念勝ちだな。

キーランはもうぱっくり開いたバックドアバレルを選べる天才。もちろん抜けるテクニックもあるんだけど、抜けるテクニックというよりはそういう波を選ぶテクニック。素晴らしかった。どのラウンドでも、そのヒートに入った9点台の波は確実にキーランが手にしてたから。

デーン・レイノルズはやっぱり、あの快進撃が続かないところがミソだな。あれが一試合のファイナルまでの全ヒートで上手くペース配分できるようになれば、ワールドタイトルはあなたのものです。って感じだけどね。

text by yuki

優勝 ジェレミー・フローレス、
2位 キーラン・ペロウ
3位 ケリー・スレーター
    デーン・レイノルズ
5位 オウエン・ライト(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)
    エイドリアン・バッカン
    ジョーディ・スミス
    テイラー・ノックス

写真
All Photos by Joli

ファイナリストのジェレミーとキーラン、それを囲む大勢のギャラリー
ジェレミー・フローレス
キーラン・ペロウ
ケリー・スレーター
デーン・レイノルズ
表彰式でのジェレミー・フローレス。超ハッピー

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